中国共産党が「ネパール乗っ取り」を目論んでいるこれだけの証拠

多額の援助の裏にあるもの
長谷川 まり子 プロフィール

無料で中国に留学できる破格の援助

その後も中国は、ネパールに対し、インフラ・道路交通・医療衛生・教育文化・エネルギー・農業・防災・情報通信・文物古跡の修復など、さまざまな分野で援助を続けていった。なかでも大きな話題になったのは、ネパール鉄道計画だ。

中国は、2006年、中国西部の青海省西寧とチベット自治区首府ラサを結ぶ青蔵鉄道を開通させた。2014年には、その先シガツェまでの253キロが完成し、さらにはネパール国境まで延伸するという計画である。

ネパールには、鉄道がない。正確にいえば、ジャナクプルに狭軌鉄道が走ってはいるが、全長51キロと短く、人や物資の輸送にそれほど役立っているとは思えない。長距離移動はバスか飛行機を利用するほかないのだが、国内線は運賃が異常に高く、庶民には手の届かない代物だ。

ジャナクプルを中心に、インドとの国境沿いを走るネパール唯一の鉄道(写真:著者提供)

バスの方も、三度、四度と使いまわされた中古車であるため、故障による立ち往生も日常茶飯事である。鉄道が通りさえすれば移動の便は格段によくなるはずと、皆、期待に胸を膨らませているのだ。

教育の分野でも、破格の援助が行なわれている。関係筋とコネを作りさえすれば、奨学生として無料で中国に留学できるというのだ。以前から奨学制度はあったのだが、近年、その数は急増。毎年約100人に中国政府が奨学金を提供し、中国在住のネパール留学生の総数は、5000人に達したといわれているのである。

 

こんな一風変わった支援の形もある。骨董品を扱う知人から聞いた話だ。

「仏具、銀製品といったネパールの工芸品を、中国で開催されるエキシビションに出品してほしいと招かれるのです。旅費もタダだし、みんな喜んで出かけていきます。なぜなら、絶対に損しないから。来場者が少なければ、地元の政治家がすべて買い取ってくれるか、貸し切りバスで村からたくさん人を連れてきてくれる。

無料で街に出かけられるわけだから、行楽気分で土産物のひとつでも買いたくなるでしょう。そうした人が次々とやって来るから、結構、儲かるんです」

いわば、ネパール商人の接待エキシビションといったところか。その甲斐あってか、今年上半期、中国・ネパール両国の貿易額は4.5億ドルに達し、前年同期比で18.3パーセントの増加を見せた。しかも、中国がネパール第一の貿易相手国となったという。

編集部からのお知らせ!

関連記事

ABJ mark

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/