ようやくわかった。アベノミクスとは「社会主義化」のことだった

「官営」株価バブルが進む中で見えたこと
宿輪 純一 プロフィール

奇しくも、共産主義の中国の公的マネーも上海市場で持ち株が増えており、中国政府による株式保有が膨らみ、過去最高を更新した。共産党大会を前に、金融市場の安定を演出しようと買い支えに動いた結果でもある。社会主義から資本主義に向かう中国と、資本主義から社会主義化しつつある日本が、同じような形態をとったことになる。

ちなみに、西側先進国で、公的な株式運用で有名なノルウェー政府年金基金(SWF)は、ノルウェー財務省の管轄下ではあるが、自国および世界各国の株式を保有し、運用を目的として機関投資家として議決権行使、つまり発言をしている。

一方、日本の日本銀行などの公的マネーは“現在は”「沈黙する株主」である。株主としての経営に対しての発言がないことが、企業ガバナンスに問題を生じさせると先に指摘したが、それではこれまで機関投資家としての経験がない日銀やGPIFにそれが可能なのだろうか。経営への発言には、十分な注意が必要なのである。

 

株式と一蓮托生の日本経済へ

GPIF等の年金は国民の資産であるが、運用のコントロールは公的に行われている。つまり、民間の資金であるが、実質的な公的なマネーとなっている。

“株式”が民間でも、公的にも経済のエンジンとなってきた。いいかえれば、日本経済全体が株価と一蓮托生となっているのである。これはこのエンジンが回っている内はいいのだか、エンジンが止まる、あるいは逆回転すると危険なシステムである。

「バブル」の判断は難しいが、一つの指標が借金で資産に投資しているかどうかということがある。たとえば個人で借金して、その資金で株を買っているということである。今回は個人も企業もその傾向は低く、逆にカネ余り現象となっている。

しかし、公的部門(政府)が多額の借金をしている。つまり、直接にその資金が株式に向かったわけではないが、間接的に、政府の「借金」が作った株高ということができる。そういった面で「バブル」なのである。

労働者の味方、自民党政権

安倍政権の社会主義的行動は、株式市場を通した「企業公有」以外にも広くみられる。近年の日本政府は、春闘での経営者側への働きかけを始めとして、「賃上げ」を積極的に促している。特に安倍政権になってからこの動きが目立つ。来年の春闘でも、3%の賃上げをした企業に税制の面で優遇する方針だ。

ただこれは、日本だけではなく世界的な傾向ではある。実は、米国の中央銀行にあたる連邦準備制度理事会のイエレン議長は、もちろん経済学博士であるが、その専門は金融ではなく、なんと労働経済学である。そして、最近、最も注目している指標は賃金上昇率である。