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ようやくわかった。アベノミクスとは「社会主義化」のことだった

「官営」株価バブルが進む中で見えたこと

アベノミクスという経済政策を俯瞰的に分析してみると、一つの“性質”が見えてくる。良い悪いの問題ではなく、自由主義、資本主義というよりは、「社会主義」的政策であるという事だ。

それも、産業との関係が、政府(当局)が株式を保有し、関係強化する方向である。これはフランス型や中国型の国有企業とは違った形態である。

もちろん、経済成長、景気が第一の目的であることは言うまでもないが、最近の安倍政権の政策が、以前の自民党政権のものよりも社会主義化しているのは間違いない。

 

進む「生産手段の公有」

筆者の前回の記事(「株価バブル後最高値!いま知っておきたい日本株の『新しい構造』」11月7日公開)に詳しく書いたが、アベノミクスにおける量的・質的金融緩和によって、日本経済は「株式」中心の金融に変貌した。

日本銀行は毎年80兆円の国債を買い入れてきた。新発債(つまり財政赤字)は40兆円で、残りは年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、年金共済などの公的年金や銀行等市場から買い上げた。

合計で資産規模が約200兆円になる公的年金は、運用比率を変更し、ざっくり言って株式と債券が半分ずつ、また国内・海外の比率も半分ずつになっている。積み立てている年金も、その割合で株式が買われることになる。

現在は公的年金の日本株式の保有は40兆円弱とみられる。公的部門の株式の大量購入は、事実上の公的介入であり、このことは市場機能を低下させている。

さらにこれも前回の原稿にも書いたが、日本銀行が株式を毎年約六兆円購入している。実質的に中央銀行が企業の信用リスクを取っているのである。このような中央銀行は少なくとも世界の先進国にはない。

さすがに、個別企業の株式を購入すると、その企業の信用リスクが、ストレートに日本銀行の信用に跳ね返るため、上場投資信託 (ETF:インデックス)で購入している。残高は20兆円を超えた。これも株式市場の買い支えになっている。

大株主が企業経営を判断しないことの意味

繰り返しの指摘になるが、このインデックス(平均)で大量に株式を購入する手法は海外の投資家に頗る評判が悪い。要は個別の企業の経営を見ない、つまりガバナンスを重視しないということなのである。大株主がこれでは経営者が経営努力をしなくなる。

これこそが、アベノミクスによる社会主義化を問題にするときの焦点なのである。今はなきソ連において、社会主義が競争原理を押しつぶしていったのと同じようなメカニズムが危惧されるからである。

GPIF(保有額1位)と日銀(同3位)といった公的マネーが、日本の上場企業の“実質的”に大株主としてなっている。筆頭株主にもなっている場合も多い。公的マネーによる企業・産業所有が進んでいるのである。