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「全ての能力が遺伝で決まる」残酷な世界で、凡人はどう生きるか

才能についての、いち考察

一流になるには遺伝的素質が不可欠

どんな能力の個人差にもかなりの程度、遺伝の影響が反映している。

その割合は30~60%、遺伝と環境の影響、およそ半々と見積もってよい。それは運動でも音楽でも、学業成績でも変わらない。

前編でも掲載した遺伝率の図表
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個人の能力というのは、環境の影響も半分くらいあるから、教え方や努力で、ある程度実感できる程度には変わる。とりわけそれを全く知らない最初のうちは、当然のことながら学べば学んだだけ、それなりに成績は上がる。

しかし努力や訓練によって誰もがオリンピック選手になれるわけではなく、誰もがショパンコンクールに出場できるわけではないように、努力や予備校しだいで誰もが東大に入れるわけではない。

世間の一部には、運動や音楽には遺伝が関係するが、学業だけは努力次第、環境次第と思っている人もいるが、遺伝子に学業とそれ以外の才能を区別する文化的な価値観はないので、そんなのは単なる幻想にすぎない。

どんな世界でも、人並み以上の成果を出すためには、何らかの遺伝的素質は不可欠である。

 

一般にエジソンは「ひらめきが1%しかなくとも99%努力すれば天才になれる」と言ったと思われているが、彼の真意は「1%のひらめきがなければ99%の努力は徒労だ」ということだったという(浜田和幸『快人エジソン-鬼才は21世紀に甦る』(日経ビジネス人文庫))。

それでも生きるためにこの世界に関する知識は必要である。それらは学ばなければ身につかない。そして知識を持たなければ、それだけ社会で不利になる。

東大・京大・早慶に入れるか否かに関わらず、この世界を理解し、自分でも操れる知識は持っていなければ、適切な行動を自信を持って選択することはできない。

適切な知識を持っていればこの世界はあなたにとってより分かりやすくなり、それによって仕事を楽しみ、うまくすれば儲けることもできる。

運動だってオリンピックや地区大会に出られなくとも、健康な身体で、野球やゴルフやダンスができれば楽しいし仲間は広がり、上達の達成感も味わえる。音楽も絵画も、それを理解できて自分でも楽しめるくらいだと人生は格段に豊かになる。

そのなかのどの領域にどのような素質を発揮し、どのような学習をし、どのくらい自分のものにできるかに、すべてその人の遺伝的条件が反映している。