地銀最強!「スルガ銀行」圧倒的収益力の秘密

ビジネスに対する考えが根本的に違う
加谷 珪一 プロフィール

スルガ銀行「強さの秘密」

企業があまり資金を借りないということになると、融資を強く希望する企業は、経営状態がよくないというケースが増えてくる。

こうした企業への融資はそれなりに高金利が得られるが、一方で貸し倒れになるリスクも大きくなり、引当金を多く積むといった対策が必要となる。

銀行はバブル崩壊後の不良債権問題で煮え湯を飲まされており、リスクを取ることに対して神経質になっている。しかも、リスクが一定以上に大きくなると、銀行が提示できる金利ではリスクに対してリターンが見合わなくなる。つまり融資先の開拓が極めて難しくなってしまうのだ。

スルガ銀行はこうした状況にいち早く対応し、全行をあげて個人向け融資へのシフトを進めてきた。これが、同行が成功している第一の秘密である。

 

同時にネットのサービスを拡大し、コストをかけずに全国展開を行うことにも成功した。これが第二の秘密である。

スルガ銀行は、約120の店舗網を持つが、静岡県内の店舗は全体の約半数の65店舗のみである。残りの46店舗は神奈川や東京を中心とする首都圏に、7店舗は仙台、名古屋といった地方中核都市に出店している。これに加えて仮想の店舗であるインターネット支店が14店舗ほどある。

ネットサービスを拡充させていることでどんなメリットがあるか。それは全国に店舗を展開している割に、人件費を抑えられることだ。

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銀行の経費には、大きく分けて人件費と物件費の2種類がある。人件費は給料などいわゆる人的コストのことを指しており、一方の物件費は、店舗関連のコストや情報システムのコストである。

銀行はもともと資本集約型のビジネスなので、他業種と比較すると店舗やシステムといった資産への支出が多い。だが、同じ銀行の中でも、経営戦略の違いによって、人件費の比率が高いのか、物件費の比率が高いのかという差が出てくる。

地方銀行の場合、経費全体に占める人件費の割合は60%から70%程度というのが一般的である。だがスルガ銀行の人件費は全体の半分程度であり、残りは物件費となっている。システム投資を重視していることが人件費率の低下につながっている。

スルガ銀行は以前、構築した情報システムをめぐってITベンダーである日本アイ・ビー・エムと訴訟になったことがある。

システムが想定通りに完成しない場合でも、IBMのようなグローバル企業が相手の場合、全面的に争うことに尻込みする企業は多い。同行が訴訟をしてまでもITベンダー側の責任を追及したのは、システム投資がビジネスのカギを握るという強い意志があればこそである。