関東人が知らない「大阪ハロウィン」〜渋谷とはココが決定的に違う

民俗学者が歩く、大阪の夜
畑中 章宏 プロフィール

取材した夜もまず目についたのは、訪日外国人の多さである。

ハロウィンのコスプレをした若者たちは、次から次に記念写真を求めてくる外国人観光客に応じて、グリコサインを背景にポーズをとる。ハロウィン・コスプレーヤーに取材したところ、一緒に写真を撮ろうと声を掛けてくるのは、9割から6割合で外国人だという。

そのほかに大阪ハロウィンの特徴らしいのは、仮装者がそれほど回遊しない点である。なかには戎橋から御堂筋を渡ったところにある「アメリカ村」に移動すると答えたコスプレーヤーも何組かいた。

東京渋谷のハロウィンは、大小の通りが交差し、明るい道から暗い薄暗い路地へと、ゆるやかな起伏をそぞろ歩くことが、特徴であり魅力とみられた。こうした遊動性は大阪のハロウィンには少ないのである。

大阪市の道路の原形は、豊臣秀吉が大坂城を築城するときに構想したもので、碁盤の目のように整然と配置されていて、渋谷のような陰翳には乏しいのだ。

筆者が取材したかぎりでは、「冗談」「笑い」「陽気」「派手」「目立ちたがり」といった特徴もあまり感じられなかった。

「大阪ハロウィン」のコスプレーヤーの“顕示欲”は、観光と買い物のために訪れる外国人旅行客の関心と視線によって満たされているようなのである。

 

囲われたテーマパークのにぎわい

事前の調査でも、大阪でハロウィンが最も盛り上がる場所は、「繁華街とちごて、USJちゃうんか」という答えを何人もから得ていた。

「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」で開業翌年の2002年(平成14)以来、毎年開催されているハロウィン・イベントはたしかに、日本を代表するハロウィン会場であるらしい。

USJのハロウィン・イベントが誇れる最大の理由は、東日本を代表するテーマパークである東京ディズニーランドがハロウィンの時期でも、ディズニー・キャラクター以外の仮装を認めていないのに対し、コスプレを幅広く許可している点にある。

こうした評判をもとに、JR西日本桜島線(ゆめ咲線)のユニバーサルシティ駅で降り、USJの「ユニバーサル・サプライズ・ハロウィーン」ものぞいてみることにした。

当然のことだが、コスプレの数は街なかよりも圧倒的多い。ここでも外国人の姿は少なからず見かけるものの、関西の若者たちはUSJでハロウィンを楽しんでいるようすが実感できた。

照明を落としたテーマパークに出現するゾンビに、筆者もなんども驚かされることになった。また仮装をしていない来場者も多く、USJには仮装を見て楽しむという目的もあるようだ。