生き残りのカギはここにある?全国地銀106行「収益力」ランキング

熾烈なレースが始まっている
加谷 珪一 プロフィール

地方銀行の中で資産規模が最大の横浜銀行は約850億円の業務純益を出しており、他行を圧倒している。同行の総資産(単体)は16兆円を突破しており、平均的な地方銀行の4倍以上の規模がある。千葉銀行と福岡銀行も資産規模が14兆円ほどあり、地方銀行としてはかなり巨大な部類に入る。

規模の大きい銀行は、コスト面でボリューム・メリットを生かすことができるので経営効率が高くなる。このところ地方銀行の再編が相次いでいる理由は、規模の追求が主な目的と考えられる。

だが、単純に規模を大きくすればよいのかというとそうとは限らない。その理由は、銀行の収益力は、営業活動を展開するエリアに依存するからである。

横浜銀行や千葉銀行は首都圏が営業基盤であり、当然のことながらこのエリアにはたくさんの優良企業が存在している。福岡も地方都市としては別格の存在であり、商圏の規模がそもそも大きい。

つまり、これらの地方銀行は、規模の大きさを追求したのではなく、商圏が大きいので結果的に資産規模が大きくなったと解釈するのが自然である。

こうした大都市圏の地方銀行は、一般的な地方銀行のモデルにはならないと考えた方がよい。逆に考えれば、単純に規模を追求しただけの経営統合はうまくいかない可能性がある。

 

地銀経営の「正解」は何か

収益力が必ずしも規模と関係しないことは、鹿児島に拠点を置く南日本銀行が2位に、富山県にある富山第一銀行が3位に、そして徳島県にある阿波銀行が4位に入っていることからも、うかがい知ることができる。

南日本銀行は行員が約700人の小規模な地銀である。2009年に改正金融機能強化法に基づいて公的資金が注入された。資本注入時に策定した数値目標は下回っているものの、利ざや(預金金利と貸出金利の差分)は大きく、収益力は高い。融資も9割近くが鹿児島県内となっており、地域密着性が高い銀行である。

富山第一銀行も南日本と同規模の地銀で67店舗で営業を行っている。南日本銀行ほどではないが、貸出金の利回りが高く、これが収益を押し上げている。

規模が小さい銀行は、預金の絶対量も少なくなるので、利ざやを稼ぐには、ある程度のリスクを取る必要が出てくる。このあたりは貸し倒れとのバランスであり、両行の収益力はリスクとの引き換えであるとの解釈も成立する。

確かに、昭和の時代であれば、リスクを徹底的に回避し、100%安全なところにしか融資をしないという選択肢があったが、今後は地域経済の縮小という大波が押し寄せてくる。

手堅い経営をしているだけでは、市場規模の縮小に耐えることはできない。ある程度、リスクを取る経験を積んでいかなければ、生き残りは難しいだろう。このノウハウは一朝一夕に身に付くものではなく、後になってからの転換は難しいと考えるべきだ。

地域を限定せず、広域営業を行うことも収益拡大の有力な手段となる。阿波銀行は徳島市を拠点とする地方銀行だが、同行の預貸率は63%と低く、融資をかなり絞っている。

だが確実に金利を取れる案件を狙って、関西圏や首都圏への融資を積極的に伸ばしてきた。2017年3月期では融資全体のうち首都圏が占める割合は12%に、関西圏が占める割合は21%に達している。

地方銀行の究極的な姿を追求しているのは、何と言っても業務純益率トップのスルガ銀行だろう。スルガ銀行の収益力は他行を圧倒しているが、その秘密はどこにあるのだろうか。このあたりは次回でより詳しく言及したいと思う。