ブレードランナー他、なぜいま歴史的SFの新作が次々撮られるのか

いまそこにある「人類の危機」
中川 右介 プロフィール

エイリアンも再開!

『エイリアン』シリーズは、リドリー・スコットが監督した1979年が第1作。原作の小説はなく、オリジナル脚本に基づく。

エイリアン

シナリオから映画になるまで多くの人が関与しているので、特定の「作者」はおらず、監督を変えながら、97年までに、シガニー・ウィーバー扮するリプリーを主人公とするシリーズとして合計4作、製作された。

このシリーズの真の主人公ともいうべき、不気味な怪物「エイリアン」は最初から、説明なしに、「恐ろしい異星生物」として登場した。知性はあり、攻撃力はものすごい。もともとの攻撃力が強烈なので武器は必要ないのだ。とても人間では太刀打ちできないが、ヒロインのリプリーがどうにか危機を脱するという物語だ。

第1作ではエイリアンは、未知の惑星にある巨大な宇宙船内に潜んでいたのだが、その宇宙船の正体も不明だった。この根本的な謎は解かれることなく第1作は終わり、以後も、ひたすらエイリアンと戦うだけで、その正体は不明のままだった。

『エイリアン』シリーズが再開したのは、2012年の『プロメテウス』である。第1作を監督したリドリー・スコットが製作と監督をしており、スコットを「作者」と考えていい。

エイリアン プロメテウス

第1作は2112年の物語で、以後、第2作は2179年、第3作は2184年で、第4作は一気に飛んで2379年という設定だったが、『プロメテウス』はその第1作の前、2093年という時代設定。つまり、後から作られた「前日譚」で、これは『スター・ウォーズ』と同じだ。

『エイリアン』を作った時点では、どれくらいヒットするか分からないので、エイリアンの正体については具体的には考えられていなかった。それを後から考えて、創っている。

その結果、宇宙ホラー、アクションもののだったシリーズは、哲学的なテーマを孕むものに転換した。

『プロメテウス』は、洞窟の壁画から先史時代に異星人が地球に来ていたことがわかり、そこに描かれている星図に示されている惑星を目指して、プロテウス号が向かうところから始まる。

その惑星には地球の人類より巨大な、つまり巨人族の国家があり、高度な文明が栄えていたことが明かされる。その巨人族はどうして滅びてしまったのか。という謎解きをしている間に、エイリアンが襲来する。

『プロメテウス』の続編『エイリアン コヴェナント』は、またもリドリー・スコットが自ら監督した。

2104年が舞台で、移民宇宙船コヴェナント号が、アクシデントにより、プロメテウス号が着陸した惑星へ行くことになり、乗組員がエイリアンに襲われる。それを助けるのが、プロメテウス号の生き残りのアンドロイドだった。

 

アンドロイドからの問い

『エイリアン』シリーズは、怪物であるエイリアンは、ひたすら人間を襲う存在として登場し、和平のためのコミュニケーションは最初からなされない。理解不可能な存在である。

最初に作られたのは冷戦時代だったので、エイリアンは、アメリカから見てのソ連あるいは中国の暗喩とも解釈できた。

だが、このシリーズにはもうひとつの「非人間キャラクター」として、第1作から外見が人間と変わらないアンドロイドが登場していた。AIを搭載しているロボットである。

このアンドロイドは人間の味方のはずなのだが、ときどき怪しげな行動をして、物語に深みを与える。