老後人生を狂わす「総額1兆円」過払いの遺族年金という大問題

「返して」と言われたら、どうする?
週刊現代 プロフィール

年金は公平な支払いが原則だ。本来なら、年金機構が戸籍情報と年金の支払いをヒモづけ、再婚をした場合には、それが支払いに反映される仕組みであるべきだろう。しかし、年金機構はそれを行っていない。

年金問題を長年取材し、著書に『年金大崩壊』があるジャーナリストの岩瀬達哉氏も指摘する。

「遺族年金については、旧社会保険庁時代から、職員が受給者のもとを訪問して、失権届を出す必要があるか否か、実態調査をすべきだという議論がありました。

しかし彼らは、とにかく自分たちの仕事を増やすことを嫌う。結局それは実現せず、今回そのツケが過払いという形で現れてしまったのです」

 

遺族年金の過払いで何より恐ろしいのは、一人あたりの過払い額が数百万円に達する事例も少なくないと考えられる点だ。

「遺族厚生年金の支給額は、亡くなった人が受け取っていた厚生年金の支給額の4分の3程度。平成27年度の厚生年金の平均受給額は月に14.7万円ですから、その場合の遺族年金は月額11万円ほど。年額にすると100万円以上を受け取っているケースはざらにあります。

過払いの時効は5年間ですが、5年間で過払いが500万円を超えることも十分にあり得る」(前出・和田氏)

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では、こうして受け取った過払い金はもらい得なのか、それとも返さないといけないのか。

「年金の過払い分については、不当利得という扱いになり、返還請求を行うことになります。受給者の方にも返還義務があります。丁寧にご説明させていただき、返還にご理解をいただくというのが原則です」(前出の年金機構広報室担当者)