坂本龍一、山崎豊子、久米宏――天才に共通する「気質」の正体

庶民の生活習慣も変えてしまった
塩田 武士 プロフィール

私が最初に出会った天才は、坂本龍一さん。姉の影響で、幼少のころから生活の一部として坂本さんの音楽があった。8年前に発表された自伝『音楽は自由にする』は、創造には「思考の基礎」が必要だと痛感する一冊。

文芸編集者だった父の影響もあって、読書家としての坂本さんは早熟だ。中学生にして五味川純平の『人間の條件』にのめり込み、デカルトの『方法叙説』を持ち歩いた。

読書に加え、学生運動全盛期の空気、何より、子どものころから作曲を「学問」として学び続けてきた背景が、創作に大きな影響を与えている。「ぼくの場合は音楽脳と言えるような思考回路を経由して、いろいろなものを感じたり考えたりしているようです」。

 

YMOの結成、「戦場のメリークリスマス」での逸話は、才能が互いに引き寄せ合う様が心地いい。それにしても「ラストエンペラー」の音楽制作を急遽依頼され(当初は役者のみのオファー)、2週間で仕上げてしまった話は、もう呆れるしかない。結果、日本人初の「アカデミー賞作曲賞」をはじめ、世界の音楽賞を総なめにした。

見せる、著す、奏でる―3人の天才から学んだことは、創作が「自由」を礎にしていることだ。

『週刊現代』2017年11月4日号より