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沖縄「チビチリガマ荒らし事件」とは何だったのか?

建築業の現在から見えてくること
打越 正行 プロフィール

このように少年らの集団は、ちぐはぐな点がめだつ。集団のつながりの強さも、過ごした時間の長さも、そして強い秩序のようなものも、そこから読み取れない。これらの点について、島袋に聞いた。

島袋「(今回の事件について)自分が思うのは、未成年だから何も考えてないじゃないですか。みんなでやってるから。人の骨、ちゅーばーぐゎーしー(勇気があるふり)して、こんなの、俺できるぜーってやって、しかばん(ビビらん)よってやってるのも、たぶん一理ではあるんですよ」

記者「それが人の骨でもですか?」

島袋「結局、人の骨って、自分たちが見て触ることもできないし、壊すこともできないじゃないですか。こんなって、10代のときって、何も考えてないから、酒入っていたのが強がって、やってしまったのかと考えきれる。たぶん普通に考えて、骨壺壊す人っていないでしょ」

記者「そうなんですよ。単に肝試しで行くことと、壊すことって全然違うので、そこは何だったのかなあって」

島袋「7、8名いるから、同じ地元ではないと思うんですよ。地元の人だったら、地元同士でたぶん行くと、こんな強がったりとかこんなのやらなかったと思うんですよ。

あちこちで行くから、かっこつけたいっていうのがあるじゃないですか。自分、こんな若いの見てて、暴走族やってきた人間だから、他の人が見に来てる時、かっこつけてやったりするじゃないですか。

みんなかけつけて意地になってやって、ほんとは怖いけどやってみたいな、それ警察沙汰になって、捕まったんじゃないですか。結局、こんなってつまらないことで捕まるのが自分も多かったんですよ」

彼が言うように、異なる地元で構成された即席の集団であるがゆえに生じる集団心理もあっただろう。それに加えて、以下では事件が生じた社会的要因について述べる。

 

世代間の継承

ひとつめの要因は、大家族制が崩れ、また戦争体験世代が高齢化したことで、記憶が世代をこえて継承されなくなったことである。

島袋「バチあたりで、まやされる(取り憑かれる)よーっていうの、こんなのに結構わかる人がいたから、昔のおばあちゃんとかに育ててもらってるから、まやされるよーって教えてもらってるから、こんなのはわかるんっすよ。

(中学にはほとんど行ってないけど)おばあちゃんとか、おばさんに育てられてるから、結局、昔の人ってこういうの、教える人って多かったんすよ」

島袋はインタビューのときは、私たちに合わせてうちなーぐちをほとんど使わないが、地元の友人とは強烈なうちなーぐちで会話をする。

彼は小さい頃からおじーやおばーとの時間を過ごしてきた。そして、その過程で霊的なものへの畏れを継承した。また沖縄戦の体験談なども伝え聞いた。

彼は小学校の頃からほとんど通学してないが、おじーやおばーからやっていいことと悪いことの分別などの大切なことを教わったという。

現在30歳前後の島袋らの世代は、学校に行かない者も多かったが、戦争体験世代に直に記憶を継承されている世代である。

事件を起こした少年らも、学校で平和教育を学ぶ機会が十分でなかったのかもしれない。しかし、彼らが、戦争を体験したおじーやおばーらの世代と接する機会が少なくなっていることも、事件の要因のひとつではないだろうか。