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瀬戸内寂聴の嘆き。「日本から『青春』が消え去ってしまった…」

恋も革命もしたくない若者たち

いまは青春がない? 便利になると結婚しなくなる? 恋愛は面倒くさい?

波瀾万丈の人生を送ってきた95歳の作家・瀬戸内寂聴さんに、ジャーナリスト・池上彰さんが「老後の心構え」について聞いた話題の新刊『95歳まで生きるのは幸せですか?』より特別公開!

混乱を恐れる気持ちが、恋も革命も遠ざける

寂聴 学生が大勢集まってるところで話す機会があったんですよ。そのときわかったのが、もう「青春」って言葉がないのね、今は。

池上 青春ねえ。

寂聴 青春がないの。だけど、あえて「青春は恋と革命だー」って叫んだんですよ。

池上 「青春は恋と革命だー」。

寂聴 そうしたら、みんな「うわー」って盛り上がっていましたよ。だからまったく恋とも革命とも無縁というわけでもないんだけど、自分でやるのは面倒くさいのかしら。

池上 今の若い人たちは、恋も革命もしたくないでしょ。

寂聴 恋と革命をしないから、日本はこんなにだらだらとした、妙な国になっちゃうんですよ。最近は大学生たちのデモが盛り上がってましたよね。その子たちはまだ私の言うことがわかるらしいんです。

池上 2015年の安保関連法の反対運動ですね。

寂聴 あの子たちにも会いましたけど、なかなかいいですよ。「恋と革命だ」って言ったら、「やってます」って(笑)。

池上 どっちもやってると? 「恋と革命だ」って言う人がいっぱいいれば、少子化問
題は少しは解決に向かいますかね。

寂聴 解決すると思います。

池上 混乱も起きるような気がするんですけど。

瀬戸内寂聴さん(写真・大島拓也)

寂聴 混乱が起きなきゃ、革命にならないですけどね。みんな混乱を恐れてるのかし
ら。恋も混乱しますからね。混乱が面倒くさいから、みんなしないんですかね。でもそれで平穏に暮らしていて、おもしろいですか?

私は、もうじき死にますけど、「ああ、九十何年も長生きして、いろんなことして楽
しかった」って思って死ねますよ。

池上 子どもたち、若い人に情熱がないと感じるのはなぜでしょうね。なんとなく生きる力が弱くなってるような気がしません?

寂聴 そうですね。食べてるものは、私たちの子どものころよりずっと栄養のいいものなのに、どうしてでしょうね。便利になりすぎたのかしらね。

池上 そう言うと、昔の人は不便だから恋に走ったみたいじゃないですか。

寂聴 だってそうでしょ。ひとりが不便だから結婚したかったんですよ。

池上 便利になるから結婚したんですか?

 

寂聴 今は便利すぎて何も要らないんだもんね。ご飯だって、料理が下手な女房が作るより、そこらで買ってきたほうが美味しいでしょ。洗濯ものは洗濯機に入れればいいし、掃除は掃除機がやる。もう女房なんて要らないですもんね。

池上 だから結婚しなくていいって、そういう発想は寂しいですよね。

寂聴 でも、そんな理由もかなりあるんじゃないですか。ひとりが不便だったら、やっぱりまず結婚するでしょ、みんな。

池上 なるほど。