転職のプロが読み解く、小池百合子の「キャリアの終着点」

いわば、ジョブホッパーの末路だ
井上 和幸 プロフィール

特徴5:最終的には、どこかで底が割れ、行き詰まる

一流のジョブホッパー、小池氏の今後の行方はどうなるのだろう?

一流のジョブホッパーが、最終的に行き着く場所は1つ。「ある時、お声がかからなくなる」というのが、その終着駅だ。

 

ジョブホップを繰り返す過程で、あちらこちらで「実力」レビューが出回り、外ヅラだけで勝負できなくなる。先の通り、実際の仕事力、マネジメント力が欠如していることが露呈する場合もあり、また、性格的難点が露呈する場合も非常に多い。

上には取り入るが、同僚や部下には嫌な奴であったり、パワハラ、セクハラで周囲から疎まれ居づらくなっているというケースも、私も非常に多く見てきた。

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今回、希望の党の失速の原因の1つに、小池氏が民進からの合流希望者の一部を「排除する」と発言したことがあるが、国民は小池氏の“上から目線”資質をこれで確定させた(前から薄々、その性格を感じていた)ことがあるだろう。

元々、幹部クラス、経営クラスの人材採用では「リファレンス」という、当人となんらか関係のあった人物へのヒアリングなど情報収集が行なわれることが多いが、昨今ではそこまでやらずともネット情報やSNS情報などで直接間接、その人の情報が出回りやすくなっている。

もちろんデマ情報なども多いので情報元の確認や情報の取捨選別は大事だが、悪いことはできない時代となっていることは確かだ。

あるいは年齢もある。一時期を謳歌した一流のジョブホッパーも、歳を重ねると、次の世代の「時流サーファー」に、若さと安さ(年収)でリプレイスされる運命にある。社長や役員まで登り詰めれば、まあ充分とも言えるかもしれないが…。

「真のリーダー」に必要なもの

さて、小池氏は、今回が潮目に見える。果たしてこの難局から逃げ切れるか?それともついに今回、ここでピークアウトするのか?

今回、小池氏は「希望の党」を起業した。ある意味、“最後の聖戦”と覚悟したはずである。

これまでは他人様の軒先を借りてきた訳だが、今回は違う。自分の城を、リスクを取って構えたのだ。

小池氏は今回の選挙戦について「私自身におごりがあった」と語り、「空中戦」「“排除”失言」についての反省を述べている。都知事選、都民ファーストの会結党の際には風が吹いたが、今回は逆風となったということも会見で率直に述べている。時流に乗れなかった今回の選挙について、大きな衝撃を受けているのが本音だろう。

自身の進退については、本記事掲載段階では「党を立ち上げた責任もあるし、そのまま代表を退くのは、かえって無責任だと思っている。今後も党運営を責任を持って進めていきたい」と辞任を否定している。

一方で少し気になる発言もあった。

出張中のパリでの前駐日米大使・ケネディ氏との対談で、「都知事に当選してガラスの天井を一つ破ったかな、もう一つ、都議選もパーフェクトな戦いをしてガラスの天井を破ったかなと思ったが、今回の総選挙で鉄の天井があると改めて知りました」と発言。何か、原因が外部にあるようなものの言い方でもある。

一流のジョブホッパーは「他責(他人や外部に責任をなすりつける)」的であることも特徴。投開票直後の「自責」的な発言から一転している感も?

今後だが、ここで例えば「希望の党」を早期で解党や再編先への身売りをするなら、小池氏の「一流のジョブホッパー人生」はここでゴール(GAME OVER)を迎えざるを得ないだろう。

ちょっと起業してみてダメでまたすぐ組織人に戻ろうとする数多の”一般”一流ジョブホッパーと同じ。残された道は、フリーのなんちゃってコンサルタント。小池氏の世界で言えば、なんちゃって識者・コメンテーター業という感じだろうか(別にそれでもセカンドキャリアとしては悪くないとも思うが)。

ここで踏ん張り、「希望の党」を中長期的に骨太の、自分達の大義を押し通すものとして、腰を据えて育てて行くなら、小池氏にも、ついに「本当の経営者」としてのキャリアがやってきたということになる。その可能性は充分にある。

ジョブホッパー型リーダーは「自分軸」、真のリーダーは「我々、世の中軸」。
小池氏が今回を受けて、自分のキャリアを最優先で動くのか、大義を最優先で政治家としての使命を果たしに行くのか、注目したいところだ。

これからの小池氏が、政界の華麗なる「時流サーファー」から脱し、明日の日本に「真の希望」をもたらす志高き政界リーダーとなり、党の経営者として胆力をもって「自社経営」に邁進してくださる姿を、ぜひ見せて欲しいと思う。

小池氏を信じた「自社社員(=党員)」、「顧客(=投票者)」の皆さんを裏切らないためにも。

(文中一部敬称略)