不気味な「しびれ」のウラには、実は重大な病気が隠れていた

脳卒中、糖尿病、 心筋梗塞の前兆か
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神経の圧迫は、ほかの場所でも起こる。脊髄から枝分かれした神経は、鎖骨の周辺を通って手の先へ向かうが、そこを通る際に、肩の骨が神経を圧迫してしびれが起きるのが、「胸郭出口症候群」。

同じように、手首の末梢神経が骨の圧迫を受ける「手根管症候群」や、腰を通る神経根が圧迫されて足にしびれが出る「腰椎症」といった疾患もある。この場合のしびれの感覚も頸椎症と近い。

こうした神経の異変が引き起こすしびれには、いくつかの特徴がある。

 

・神経の特定の部分が圧迫されるので、しびれは同じ位置に出続ける。

・神経が圧迫されている場所よりも先の部分にしびれが出るため、頸椎症、胸郭出口症候群の場合は、首から下、とくに首、肩、手に、腰椎症の場合、腰から下にかけてしびれが出る。

・首や肩の角度によって神経が圧迫されたり、されなかったりするため、首や腕、腰を回したりすると、しびれの強さが変化することが多い。

医師は、以下の方法で調べるという。寺本神経内科クリニック院長・寺本純氏が言う。

「首を後ろに反らしたときに、手先へのしびれや違和感が強くなるかどうか確かめるのです。頸椎症なら、反らしたときに普段よりしびれがひどくなります。

腰の場合は、仰向けになって足を真上に跳ね上げるような姿勢を取ったときに、下肢のしびれや違和感が強まるという特徴がある。これを『ラクーゼテスト』といいます」

しびれにこうした特徴がある場合は、神経の異変を疑ったほうがいい。

神経性のしびれを放置しておくと、今度は、体の中心を走る重要な部位・脊髄にもダメージが加わり、深刻な事態になることがある。それが「脊柱管狭窄症」だ。

NTT東日本関東病院の下出真法氏が言う。

「脊柱管とは、脊髄を取り巻いている骨のトンネルのこと。加齢とともに、首や腰の骨が変形し、トンネル部分が狭くなって脊髄を刺激することでしびれが出ます」

ここまで症状が悪化すると、感覚神経ではなく、脳から筋肉に命令を下す運動神経に異変が生じる。しびれは、手足がうまく動かないという「運動麻痺」に近いものとなり、その結果、数百m歩くと足がしびれて動けなくなってしまうこともある(間歇性跛行)。

それだけではない。

「脊髄が圧迫される事態になると、親指をうまく動かせなくなることがあります。親指は人間の繊細な動きを支える重要な指です。

それが動かなくなると、箸を持てなくなる、すぐにコップを落とす、ペットボトルを開けられなくなるなど、日常生活に支障が出ます。

長い間放置すれば、最悪の場合、歩けなくなることもありますし、脊髄は膀胱などの神経も司っていますから、尿漏れなどの排泄障害に至るケースもあるのです」(前出・常喜氏)

この段階でようやく病院に来る人も多いというが、そのときには手術が必要となっているケースも少なくない。

同じ場所に、1週間以上にわたってしびれが続く場合には、早い段階で医師に相談することが必要だ。

「頸椎症や胸郭出口症候群は、早いうちに医師に相談しておけば、深刻化する前に症状を食い止められることもあります。

こうした症状は、加齢に加え、荷物を片方の腕だけで持つ、パソコンに向かうときの姿勢が悪い、普段の歩き方のバランスが悪いなど、生活習慣が影響している部分も大きいですから。鞄を持つ手を変えるといった工夫をするだけで、しびれが悪化しなくなることもあるのです。

勘違いされている方もいますが、一度ダメになった神経は元には戻りません。症状の進行は食い止められても、元通りに戻すことはできない。だからこそ、早い段階で医師に相談する必要があるのです」(前出・常喜氏)