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不気味な「しびれ」のウラには、実は重大な病気が隠れていた

脳卒中、糖尿病、 心筋梗塞の前兆か

どうもこのところ、指先がジンジンする、手首にピリピリした感覚がある、少し歩いただけで足に違和感が出る――。こうした不気味なしびれの背後には、実は重大な病気が隠されているかもしれない。

 

何日も続くときは…

「体にしびれが出ていても、恐怖心から見て見ぬふりをする方は少なくありません。気持ちはとてもよくわかります。しかし、脅かすわけではありませんが、しびれを放置したために症状が悪化することもあります。

逆に、しびれを引き起こす病気のなかには、糖尿病や頸椎症など、早いうちに病院に来て対策をすれば症状を食い止められるものも多い。そのことはぜひ知っておいてほしいと思います」

こう話すのは、東京慈恵会医科大学・総合診療部准教授で、脳神経外科が専門の常喜達裕氏である。

痛みというほどではないけれど、体にジンジンとした違和感を覚える、普段より感覚が鈍っているような気がする――こうした日常の様々な「しびれ」が、ふとしたときに気になってしまう人は多いだろう。

しびれの原因としては脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)がよく知られており、異変が出るとすぐに「脳卒中か?」と不安になるもの。無論、脳卒中を警戒するに越したことはないが、しびれの原因となる病気はほかにもある。

なかには、脳卒中の前兆だと思い込むあまり、適切な検査を受けることができず、症状を悪化させてしまう患者もいるという。自分のしびれの原因が何であるかを知ることが第一だ。

まずは、しびれを感じて医師に相談したところ、思ってもみなかった病気が発覚したケースをご紹介しよう。

埼玉県に暮らす、会社員の藤田大介さん(56歳・仮名)が振り返る。

「2年前の夏、手の指の腹に、正座の後のようなジンジンとしたしびれが出ました。そのしびれが3日ほど四六時中続き、不安を覚えて病院に行きました。医師の診断は『圧迫性末梢神経障害』。

重い荷物を持った後、何日か経ってからしびれが出るものだそうです。2~3日でよくなるだろう、心配ないと言われました」

しかし、しびれは受診から1ヵ月経っても続いた。藤田さんは同じ病院を再受診した。

「医師の顔が曇り、『糖尿病の疑いがあります』と言われました。専門医の受診を勧められ、診察を受けると、糖尿病だと告げられたのです。自覚症状はまったくなかったし、まさかしびれと糖尿病が関係するとは思ってもみませんでした。

いまはアマリールという内服薬を飲んで治療を続けています」

しびれは、様々な病気のサインとなるのだ。では、自分の体に現れたしびれは、すぐに病院に行ったほうがいいものなのか、そのままにして大丈夫なものなのか――。

危険なしびれの原因は大きく5つに分けられる。

①神経の異変
人間の背骨を通る「脊髄」や、そこから体の隅々に伸びる「末梢神経」などに異変が出てしびれを感じるケース。

②血流の異変
血流に異変が出て、末梢神経に不具合が起こり、しびれが出るケース。糖尿病はこのパターンだ。

③心臓の異変
心筋梗塞や狭心症によってしびれが起こる。

④脳の異変
脳で異変が起き、手足にしびれを感じる。脳卒中はここに含まれる。

⑤内臓疾患
内臓疾患による異変が、しびれとなって現れる例。がんでしびれが出ることもある。

①~⑤のうち、どれに当てはまるかによって、しびれが現れる場所や特徴は異なる。つまり、自分のしびれが出ている「部位」や、その傾向に応じて、症状を判断することができる(ページ末の表を参照)。

病院に相談に来る患者のうち、しびれの原因として一番多いのが、①神経の異変である。

人間の神経は、脳から背骨に沿って走り、そこから枝分かれして体の隅々まで行きわたっている。これが骨に圧迫されると手足にしびれが出る。

なかでも、手のしびれの原因となるのが、「頸椎症」である。前出の常喜氏が解説する。

「脊髄から枝分かれした神経は、首の骨の隙間である『椎間孔』を抜けて腕のほうに向かって伸びています。加齢の影響や長年の生活習慣で椎間孔の形が変形し、その部分が神経を圧迫してしびれが出てくる。これが頸椎症です。

初期段階では、感覚を脳に伝える『感覚神経』が圧迫され、しびれ(知覚異常)が現れます。個人差があって難しいですが、正座をした後のようなビリビリとした感覚があったり、知覚が弱まっているために字を書くときに以前とは違う感覚があるなどの違和感が出てくることが多い」