ブラック企業がいまだにはびこる「4つの悪しきメカニズム」

「ゼロ」に立ちはだかる高い壁
新田 龍 プロフィール

(3)従業員の問題

<ポイント>
・「長時間労働は組織への貢献」という信念
・「成果」よりも「労働時間」で評価する上司
・効率的な仕事のしかたを知らない
・他に居場所がないので長時間オフィスにいるだけの「やる気偽装」社員の存在

従業員はブラック企業の被害者でこそあれ、「ブラック企業化の一因」といわれてもピンとこないかもしれない。しかし、実際に働き方改革の現場に接していると、従業員が改革の阻害要因となるケースは少なからず存在するのだ。

たとえばトップダウンで働き方改革を進めようとする会社において、「残業ゼロ」になったら喜ぶ従業員が多いと思いきや、「やりたくて残業している」「自分なりのペースでやりたいのに、会社から細かく管理されたくない」と反発する者がいたり、「生活残業ができなくなる」とネガティブな反応をしたりして、改革に協力的でない雰囲気が生まれることがある。

また評価者によっては「短時間で仕事を終わらせて早く帰る人」よりも「深夜も休日も出社して仕事をしている人」のほうがより頑張っているように映り、結果的に長時間労働が評価されてしまうケースも存在する。

さらには、そうやって評価された人が出世し、評価する側にまわり…と悪循環が繰り返され、成果とは関係なく「単にオフィスに長時間いる」ことが出世の条件となりかねない。

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仕事ができず、いつクビになるかと戦々恐々している人にとっては、長時間オフィスにいることこそ格好の「やる気偽装」の隠れ蓑となろう。

結局、これまで「とにかく長時間労働をがんばる」ことによって成功体験を得てきた組織や人はなかなかその状態から離れられず、「短時間で効率的に仕事をこなして早く帰る」という仕事の仕方を教わる機会も、トレーニングする機会もないまま今に至っているわけだ。

そう考えると、働き方改革で最も改革しなければならないのは、会社よりも労働者側なのかもしれない。

 

「組織の目的達成に必要な人材」が制約条件を抱えているなら、会社はその人を懸命にサポートするはずだが、価値を提供できない人材を積極的にサポートする会社などほとんど存在しないからだ。会社の人材戦略に対してガチンコで対峙し、伍していかないと使い潰されてしまうだろう。

さらに根深い問題とは…

以上の3つの問題に加え、「(4)顧客の問題」というものが存在する。

<ポイント>
・「お客様は神様」のカン違い
・下請け扱いして理不尽な要求をおこなう発注主の存在

これまで述べてきた社会構造的な要因と比べると些細なことのように思えるかもしれないが、実はこの問題こそ根深いものだ。

しかし、対策がないわけではない。その詳細は次回に譲り、課題解決に成功している具体的な企業名を挙げながら考察していきたい。

*後編はこちら→ホワイト企業を目指すなら、まずは「ブラック顧客」を切りなさい