池上彰が悩んでいる。「わかりやすく伝えるだけでよかったのか…」

瀬戸内寂聴さんに打ち明けたこと
瀬戸内寂聴×池上彰

自分だけが幸せでも、幸せとは言えない

池上 人生の終わりをどう迎えようと考えたときに、若い人に迷惑はかけちゃいけな
い、けれど自殺はいけない。では、どうすればいいですか?

寂聴 ボケるときは、自分の意思に関係なくボケますからね。それが私はとても不安でね。心配があるとしたらそれだけ。どんなに教養があろうが、頭がよかろうが、ボケる人はボケるんですよ。

池上 そうですね。

寂聴 あなたなんかもボケるんじゃない?

池上 (笑)。もう時々ボケを言ってますけどね。

寂聴 どんなに偉く見える人でもボケるの。

 

池上 先ほど「ボケるのだけが心配」とおっしゃいましたね。

寂聴 それだけが心配。

池上 つまり亡くなることにはもう不安はない?

寂聴 出家してますからね、亡くなるのはちっとも不安ではありません。

池上 死ぬことには不安はないけれど、自分の意思と関係ないところで認知症になることは不安なんですね?

寂聴 だって認知症になったら、周りに迷惑かけますもの。だから不安でたまらないんですよ。

(写真・宮下マキ)

池上 でも不思議な天の采配といいますか、認知症になった人は、死の不安がなくなりますよね。

仏門に入ってる人は、死ぬことに対する恐れは抱かないのでしょうけど、煩悩だらけの一般人には、やはり死ぬことに対する不安、恐怖心があります。死期が近づいてくるのは、とても不安ですよね。でも認知症になってしまえば不安でなくなりますよね。