500万年後、人類から「オス」が消滅する! その理由

「遺伝子のゴミ」が人類の秘密を解明
小林 武彦 プロフィール

実はこのジャンク領域、正式には「非コードDNA領域」と呼ばれますが、これこそが生命を誕生させ、ヒトをヒトたらしめた進化の原動力として働いた重要な装置であることがわかってきました。

なぜヒトだけが知性を備えるようになったか

例えばヒトの脳は他の霊長類(サルの仲間)に比べて非常に大きいです。この原因の1つは、興味深いことに「あごの筋肉が弱められた」ことによります。

その原因は、過去にさかのぼって見てきたわけではないので絶対にそうだというわけではないのですが、非コードDNAの作用によって徐々に筋肉の遺伝子が壊されていったと考えられます。筋肉の減少はあごを小さくし、その分頭蓋骨が大きくなりました。

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また、知性に関わる大脳皮質の発達も、神経の機能に関わる遺伝子のそばに偶然飛び込んだ非コードDNAが一因と考えられています。

 

そのこととも関連して、チンパンジーの遺伝子とヒトの遺伝子を比べると、なんとその違いはたったの1~2%しかありません。でも見た目も性質もかなり違いますよね。その理由も実は非コードDNAに隠されています。

ゲノム(全遺伝情報)の98%は非コードDNAであり、そこの部分がヒトとチンパンジーではかなり違います。非コードDNAには遺伝子の調節、例えば量や働く時期などを決める情報が入っています。

つまり材料(遺伝子がつくるタンパク質)はほとんど同じですが、組み立て方が違っているのです。それを指示するのが非コードDNA領域なのです。

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実は生き物のすがたかたちだけでなく、もっと大事なものも非コードDNAが決めていることがわかってきました。それは生き物の持ち時間、つまり寿命です。

ぶどうの表面についている酵母菌という単細胞の生き物がいます。彼らはだいたい2日間の命ですが、種類によっては3日間生きるものもいます。それぞれ種のゲノムを比較することでどこの配列が寿命に関わっているのか突き止めることができます。