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阪急電鉄の「壮大なる鉄道プロジェクト」の舞台裏

近畿の通勤網を変える計画を徹底解説

北大阪急行電鉄延伸となにわ筋線

最近、大阪では阪急電鉄の鉄道プロジェクトの話題でにぎわっている。

グループ会社の北大阪急行電鉄が、1月19日箕面市で路線延伸の起工式を挙行した。千里中央~新箕面間2.5kmの新線で、2020年(平成32年)の開業を予定する。

また、5月には、JR西日本と南海電気鉄道が運行する予定である「なにわ筋線」の北梅田駅(仮称)から十三まで阪急が地下新線を検討するという発表があった。さらに、9月には、宝塚線曽根駅で分岐して関西国際空港までの地下新線の構想が発表になった。
 
久々の、阪急電鉄にとっての大規模鉄道プロジェクトであるので、具体化を大いに期待したいところである。

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阪急電鉄は、ここ十年程のあいだ、いくつかの困難な問題を抱えていた。

昭和56年、神戸の三宮沖の海上を埋め立ててポートアイランドが建設された。この完成を記念して「ポートピア’81」が開催されたが、その総合プロデューサーに阪急の小林公平専務が就任するととともに、神戸市の開発するレジャー施設の設計・運営を受託し、「ポートピア’81」の開催に合わせて昭和56年3月に営業を開始した。

これは「ポートピアランド」として「ポートピア’81」が閉幕した後も営業が続けられ、バブル崩壊の年、平成3年には入場者が163万人を数えるまでになった。しかし、阪神淡路大震災による休園とその後の入場者の減少、USJなど競合する行楽施設の開業により、平成18年3月に閉園した。

※小林一三の三男で阪急の社長をしていた小林米三の姪を養女してその婿養子としたのが公平。小林米三が養女とした姪は、小林一三の次男辰郎が松岡家に婿養子に入ったが、その長女である。松岡修造の叔母でもある。なかなか複雑である。

阪急電鉄は、彩都・国際文化公園都市の開発にも参加していた。

千里丘陵の北部の箕面市から茨木市にかけた一帯に、都市再生機構URが開発しているニュータウンである。完成すると743haの地域に人口5万人が暮らす都市が生まれるはずであった。

平成16年に西部地区の彩都あさぎ地区25haの第1期まちびらきを行い、平成19年3月には国際文化公園都市モノレール(彩都)線が彩都西まで開業した。しかし、大阪圏でも都心部に高層マンションが相次いで建設され、人口の都心回帰が進行した。住宅地としての彩都の開発の意義が薄れていた。

平成20年、URは、彩都の開発計画を大幅に縮小し、東部地区から完全に撤退することを決定した。

民間企業が開発を継続することになるが、平成20年リーマンショックから不動産取引が低調になったのに加えて、茨木市が小中学校の定員不足からマンションの新設を認めない方針とした(平成28年に再開)ために、東部地区の開発は停滞した。彩都モノレールの延伸計画も平成29年1月に正式に中止となった。

阪急電鉄は、開発用地として東部地区の山林の買収を進めていたが、開発の停滞により、平成17年3月期に200億円、平成20年3月期には725億円の分譲土地評価損を計上した。

彩都の東部は高速道路のアクセスが良いため、阪急電鉄は住宅地としての開発を断念して、三菱地所と共同で、大型物流施設を建設することを決定した。延べ床面積12万5千平方メートルの大規模な施設で、2020年の稼働を目指し、西日本をカバーする物流基地とする計画である。