まもなく、日本列島を「死有地」が覆い尽くす

所有者不明の空き家や山林が急増中
週刊現代 プロフィール

家が「負債」になる

「死有地」が増加して、本格的に人が住まない地域が出てくると、それに関連してあらゆる問題が生じてくる。

喫緊の懸念材料としては、所有者不明の土地に目を付けた犯罪の増加だ。人目の届かない空き家に放火されたり、不法滞在の外国人などが住むケースも考えられる。いずれにしても、起こってからでないと気付かないのが恐ろしいところだ。

 

インフラについても、今後大きな問題に直面することになる。

日本では'70年代がインフラ投資のピークで、その耐用年数は50~60年程度といわれている。

たとえばいま、首都高や東名高速の老朽化が指摘され、それぞれ大規模な改修工事が予定されているが、これらは利用者が多く改修のメリットがあるからだ。

一方で人の住まない地区のインフラ改修は採算が合わず、行政としても所有者がわからない土地の周辺は整備しにくくなっていくため、いまのような状態を維持するのは難しい。

生活に必須なインフラの一例として、収入を利用料金で賄っている水道事業の経営は厳しくなる。「人が住まないエリア」の上下水道が劣化しても、修繕は行われずそのまま放置される可能性がある。

これは電気やガスにも同じことがいえる。当然、そうなれば飲食店から病院まで、あらゆるサービスは停止して誰も住めなくなる。こうして、ゴーストタウン化が進んでいくのだ。

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所有者不明の土地が増える現実を、個人の力で打開することは難しい。だからこそ、行政主導による都市部への一極集中化が今後進んでいくのは仕方のないことなのかもしれない。故郷が失われていくことは、あまりにも悲しいことだが。

「2028年ごろには、人が家を持つということの意味がなくなっているかもしれません。不動産は流動性の低い資産で、価値が下がっていくだけの物件を持っていても、負債が積み重なっていくだけ。

家を購入するのは、今後も値上がりしていくであろう都内の超一等地を買える資産家だけで、ほとんどの人は必要な場所に、そのつど家を借りて住むのが当たり前になるでしょう」(前出・米山氏)

本連載がこれまでに取り上げた「AI上司」「自動運転」のケースでは、生活を豊かにする夢のあるエピソードも散見されたが、「死有地」に関してはそうはいかない。他人事ではない現実が、目前に迫ってきている。

「週刊現代」2017年10月14日・21日合併号より