まもなく、日本列島を「死有地」が覆い尽くす

所有者不明の空き家や山林が急増中
週刊現代 プロフィール

4軒に1軒は空き家に

超高齢社会、老老介護の宿痾と言うべきか、高齢者から高齢者へ土地の所有が引き継がれていく一方で、相続人の数はどんどん増えていく。資産管理の収拾がつかなくなった結果、塩漬けになった不動産が大量に出現してしまう。

そしていま、このような「死有地」が全国的に急増している。増田寛也元総務相らによる「所有者不明土地問題研究会」がこの6月に発表した衝撃的なレポートによると、日本全国で所有者がわからなくなっている宅地や農地などの土地は約410万ヘクタールにのぼり、これは国土の私有地の約2割にあたる。約368万ヘクタールある九州全土を上回る大きさだという。

野村総研が'17年に行った試算によれば、2028年には日本の住居の25.7パーセント、つまり4軒に1軒が空き家になるという。高齢化と人口減少が過疎地域から加速度的に進んでいくなかで、「死有地」の問題は都市部にもおよぶことになるのだ。

 

すでに都市部でも、700ヵ所以上の所有者不明の土地が見つかり、それがさまざまな問題を引き起こしている。東京五輪などに向け再開発が進む都内の住宅地では、現在の所有者がわからないせいで大規模な区画整理をすることもできない。まさしく「死有地」と呼ぶほかない土地だ。

たとえば再開発が進む品川区では、緊急車両が通れるように土地の買収を検討し、区画整備を進めているが、先述のさいたま市の例のように交渉すらできないケースがままあるという。

日々の生活に、「死有地」の存在はどのように関係してくるのだろうか。

「地震や豪雨災害が起こったとき、『死有地』は地域全体のネックになります。東日本大震災からの復興を進めるとき、所有者不明の土地があるために倒壊家屋の取り壊しができず、区画整備が遅れたケースもありました」(前出・吉崎氏)

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一軒家ならばまだいい。今後さらなる問題を引き起こすのは「マンション」だ。築数十年も経てばマンションは老朽化し、修繕や建て替えが必要になってくる。

もしこのとき分譲されたマンションの所有者が数十戸単位で所在不明になっていたら、その合意はどうやって行うのか。想像するだけでも恐ろしい。