降圧剤を飲み続けると、EDになる可能性

飲まない人とは2倍の差が…!
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では、なぜ降圧剤はEDを引き起こすのか。

これは、勃起のメカニズムを考えるとわかりやすい。勃起は以下の流れで起きる。

①性的に興奮することで、神経から一酸化窒素(NO)が分泌される。このNOが筋肉、血管に作用し、「サイクリックGMP(cGMP)」という物質が分泌される。

②cGMPによってペニスの血管を取り巻く筋肉、海綿体が弛緩。血管が拡張する。

③拡張した血管に血が流れ込み、海綿体が拡張する。

④ペニス近くの「括約筋」が静脈を圧迫。血液が海綿体の外に出にくくなり、勃起する。

①~④のプロセスのどこかに問題が起きると、EDになってしまう。うまく興奮することができなかったり(①の問題)、cGMPが分泌されなかったり(②の問題)してEDとなるのだ。

 

降圧剤の種類に注意

降圧剤は、③のプロセスで問題が起きているという。獨協医科大学越谷病院泌尿器科の小堀善友氏が言う。

「厳密なメカニズムはまだ明らかになっておらず、議論の余地がありますが、降圧剤を飲むと、血行が悪くなることがわかっています。その結果、ペニスの血管に流れ込む血液の量が減少し、勃起をしにくくなると考えられているのです」

たとえば、日本で最も多く使われている「利尿薬」系の降圧剤は、体内の塩分と水分を排出させることによって血液の量を減少させ、血圧を下げる。

だが、体内を巡る血液の量が減ってしまえば、もちろんペニスに流れ込む血液の量も減り、それがEDにつながると言われている。

降圧剤は、種類によって効き方のメカニズムが異なるため、当然EDになるリスクの大小にも違いがある。

前出のドーマス氏らが行った研究によれば、利尿薬(フルイトランなど)や「β遮断薬」(メインテート、セロケンなど)といった降圧剤を服用している患者のほうが、「カルシウム拮抗薬」(アムロジン、コニールなど)、「ACE阻害薬」(コバシル、レニベースなど)、「アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)」(ミカルディス、ディオバンなど)を服用している患者よりも、EDになりやすかったという(それぞれの作用機序についてはページ末の表を参照)。

「ACE阻害薬、ARBは末梢循環(手足など体の末梢部の血の流れ)を悪化させにくく、EDになりにくいと言われます」(東邦大学医療センター大森病院の永尾光一氏)

前出の大和氏はこう指摘する。

「私が目を通してきた論文や報告のなかでは、カルシウム拮抗薬『アムロジピン』がEDを引き起こすリスクがあるとされていました。実際、私のクリニックに来る患者さんでも、この薬を処方すると『勃起しなくなってきた』と訴える人がたまにいます。

そうした場合には、薬を変える提案をし、ARBやβ遮断薬を服用してもらうようにしています」

日本人はEDになったとしても、そのことを恥じたり、「もう年だから」と諦めたりして病院にかからないことが多い。実際にEDになっている人のうち、病院に行っているのは、わずか9%にすぎないという指摘もあるほどだ。

しかし実は、降圧剤の種類を変えてみたり、薬そのものをやめる努力をしたりすることで、かつての「仁王勃ち」を取り戻すこともできると聞けばどうだろうか。

関西に暮らす土井克彦さん(58歳・仮名)は、「仁王勃ち」を取り戻した一人だ。土井さんが言う。

「私は55歳から降圧剤(カルシウム拮抗薬)を飲み始めました。そこからしばらくは、恋人とセックスを楽しんでいましたが、段々と勃起をしにくくなってきたんです。

年のせいかとも思いましたが、思い切って医師に相談すると、降圧剤が原因になっている可能性があると言われた。

『薬をやめたらよくなるんですか』と聞くと、『よくなるかもしれない』と言う。だから思い切って、降圧剤をやめられるという触れ込みの病院に行ってみることにしたんです。

幸い、重い血管の病気があるわけではなかったので、食生活を管理してもらい、キチンと運動をしたら1年ほどで降圧剤をやめることができた。そして、薬を飲まなくなると、段々と勃つようになったんです。

それにつれて気持ちも前向きになる。いまではまたセックスもできるようになりました。降圧剤をやめて本当によかったと思っています」

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土井さんのように、降圧剤をやめることができ、EDも改善するというのは、一石二鳥の理想的なケースだ。