2020年、格差拡大で「東京暴動」が起こるかもしれない

拭いきれない不安がつきまとう
川崎 大助 プロフィール

暴動の主力となった若者は、労働者階級のなかでも「とくに下」であり、仕事どころか教育制度からもこぼれ落ちた「名前もろくに書けない」ような奴らだ、と評されることもあった。まさしく「下層階級(Underclass)」なのだ、と。

そんな奴らが団地に居着いては、福祉を食いものにしたり、犯罪に走ったりしている……それらは都市の内奥に巣食う蛮族たちである、として、怪物視する風潮が一気に強まった(ちなみに、これらの若者を十把一絡げに「チャヴ」と呼ぶ人が日本にはいるが、それは妥当ではない。日本の不良全部を暴走族呼ばわりするごとき、概念の誤用だ)。

 

不均衡への恨みつらみが…

そしてこの暴動は、ロンドン・オリンピック開催のほぼ1年前に起きた。つまり巨費が投下され、「オリンピックのための」再開発が進んでいたロンドンにおいて、そんな恩恵など微塵も感じられない人々によって、引き起こされた。

階級社会であるイングランドにて、格差のなかで「分断」され、最底辺にて澱のように溜まりに溜まっていた鬱憤が、あってはならない形で吹き上げたものこそが、あの暴動だった。

日本でも、これが起こるかもしれない。2020年の東京オリンピックまでに、どこかで。日本らしく「アレンジ」された形態で、沸点に達した不均衡への恨みつらみが、現実世界に投擲(とうてき)されることになる可能性は高い

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それが具体的にどんな形となるのか? というヒントは、アメリカにおけるヒルビリー、トラッシュ層の歴史および今日との状況と、イングランド暴動とのあいだにある「差異」のなかにあるはずだ。そこにある変数を抽出して分析することができれば、日本における「それ」の勃発は防げる、かもしれない。

ただ、それを未然に防いだところで、根本的問題の解決にはほど遠い。たとえば、こんな光景を想像してほしい。

シャーロッツヴィルに集結した白人至上主義者の若者のひとりが、将来結婚し、子供を持つころには「思想が軟化」して、気のいいおじさんになって、あらゆる人種・民族の人々が集うコミュニティの一員として、役割を果たし、みんなから愛されて、友だちがいっぱいできる――。

そんな未来は「起こりえる」ものだろうか? それとも逆に「起こらないほうがいい」のか? 彼は一度犯してしまった人種差別という罪の重みを背負って、悲惨な境遇の果てに、早々にこの世を去るのが「望ましい」ことなのだろうか? そっちのほうが、逆サイド側にとっては「胸がすく」ような気分になるものなのか?

あるいは、いま起こっている状況は、なんらかの方法で「取り返しがつく」ものなのだろうか?――アメリカで、イギリスで、そしてこれから、日本でもおそらく「起こってしまう」ことは。

望むと望まないとにかかわらず、日本もアメリカやイギリスの轍の上を走っている。もっとも「そんなことまでやっても」アメリカやイギリスほどの経済的繁栄からは、長らく見放されたままなのだが。ただそれゆえに、どこよりも最悪の事態が、日本固有のヒルビリー事情から生み出されてしまっても、僕は驚かない。

残された時間は、もうほとんどない。

<了>

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