セもパも「大枚はたいて大物を呼ぶ」球団経営はもう古い

勝利と同じくらいファンを愛そう
長谷川 滋利 プロフィール

イチローの近況と今後は?

日本人メジャーリーガーにとっては、今年はそれぞれ転機のシーズンになったかもしれません。

筆頭はプレーオフに向けての補強として、ドジャースに移ったダルビッシュ有投手でしょうか。彼は完全にゲームをコントロールできる、こっちではドミネートなんて言葉を使うのですが、短期決戦に重用される存在として結果を出しました。これで来季の彼の価値が保証されたと言えるでしょう。

同じくドジャースの先発としてローテーションを守りつつ、シーズン終盤からはリリーフとして大車輪の働きを見せてくれた前田健太投手の活躍も光りましたね。

また、ヤンキースのローテーションピッチャーとして13勝を挙げた田中将大選手も一定の結果を出しました。地区シリーズという大一番で見せた怪投は「来季も頼むぞ」とニューヨーカーの心を掴むパフォーマンスでしたね。

 

野手でいえば、やはりイチロー選手(マイアミ・マーリンズ)でしょうか。

実は先日、外国人選手をチェックしにアリゾナに行ったのですが、マイアミがちょうどビジターで来ていて、少しだけイチロー選手と言葉を交わしました。ゴルフで僕が全米アマの本戦に出場したことについて「おめでとう」と言ってくれました。

練習中から笑顔でグラウンドを走っていた姿が印象的です。同時にアップひとつとっても一切、手を抜きません。あの姿勢は周囲の選手にとって「こんなにキャリアのある選手でも真摯に野球に取り組むのか」という指針になるのでしょう。

若手もベテランも敵地のファンでさえも彼をリスペクトしているのがよく分かりました。あれだけの選手になると普通、どこかで妬みを抱かれたり陰口を叩かれたりするものですが、イチロー選手に限っていえば、その類のネガティブな話を僕は聞いたことがありません。

そして、やっぱり彼はグラウンドが似合いますね。

記録などはどうでもいい、とまでは言いませんが、我々、外野が楽しみにしているだけで、彼のプレーの幅を狭めるようなことがあってはならない。今季のように本人が「楽しいです」と言える環境で、できるだけ長く野球しているイチローを見たい、と思っているのは僕だけではないはずです。

オフにまたどこかで会えたら、話をじっくり聞いてみたいなと思っています。