セもパも「大枚はたいて大物を呼ぶ」球団経営はもう古い

勝利と同じくらいファンを愛そう
長谷川 滋利 プロフィール

スモールマーケットを活かした球団作りを

もちろん、球団経営には数多くの手法があります。

例えば、有力選手を大枚はたいて連れてきて、話題と勝利を呼び寄せる方法ですね。国内外で見られます。その経緯で赤字を作ることも少なくありません。もちろん優勝すればそれは回収でき、さらに次のシーズンに向けての補強もまかなえるかもしれません。

ただ、あくまで僕の意見ですが、それが健全経営か、といえば素直に肯首できない部分はあります。

それよりもやはり球団に独自のカラーを持たせ、スタジアムに行けば「楽しいことがありそうだな」という期待をファンに抱かせることが優先される場合もあります。

 

37年ぶりの連覇を達成したカープを例に挙げましょう。スタジアムにBBQシートを新設したり、カープ女子なるものにスポットを当てたり、あの手この手で盛り上げようと努力を惜しまない球団です。

近年、その営業努力と結果が伴って素晴らしいシーズンになっています。ただ、優勝できないシーズンが来た時に、現在同様の動員とサービスを持続できるか、これがブームを文化とする分岐点になってくると思います。そういう意味では正念場はこれからかもしれません。

メジャーを見渡すと、MLBのAttendance(観客動員)ランキングはどのシーズンも、ロサンゼルス(ドジャース)や、サンフランシスコ(ジャイアンツ)、シカゴ(カブス)や、ニューヨーク(ヤンキース)、ボストン(レッドソックス)といった、大都市あるいは常勝チームが上位に並びます。これはまあ、当たり前ですね。

しかし、その中に紛れて、というと言葉が悪いですが、コロラド(ロッキーズ)や、テキサス(レンジャース)といった、大都市でもなく常に勝ち星を稼いでいるとはいえないチームも、平均3万人を超える動員を記録しています。

このあたりにも球団経営のヒントが隠されています。現場や選手は勝利を全力で目指す一方で、スモールマーケットを活かした勝ち負けにこだわらないファンサービスを継続、発展させてゆく。それが実現すれば、日本のプロ野球はさらに面白い方向に舵を切ることができるのではないでしょうか。