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日本経済の「好調」は、思い込みだけで支えられた危険な状況

「実感なき景気回復」のツケ

10月22日の衆議院総選挙が近づく中、報道各社による世論調査の結果が明らかになっている。それによると自民・公明で300程度の議席の確保が見込まれている。

世論調査は水物であり、開票結果を見るまで選挙結果は何とも言えない。それでも、希望の党の勢力動向に気をもんできた市場参加者にとって、世論調査の結果は一定の安心感を得る材料となっただろう。

 

多くの市場関係者は、選挙後の経済政策がどう運営されるかに考えを巡らせている。恐らく金融市場は、次期政権下での経済政策に関する憶測で動きやすくなるだろう。

財政再建、社会保障の持続性の向上、構造改革など論点は多い。だが、その中で重要なポイントは、日銀の金融政策がどうなるかだ。

「金融政策一本足打法」の限界

2012年12月の総選挙で政権与党に返り咲いた自民党政権は、金融政策、財政政策、成長戦略(構造改革)からなる「アベノミクス」を進めることで、デフレ経済からの脱却を目指した。しかし結果として、アベノミクスは金融緩和策に依存してしまった。

米国経済が緩やかな回復を続ける中、「金融政策一本足打法」のアベノミクスはドル高・円安の一時的なトレンドを支えた。その結果、企業業績のかさ上げと株高による資産効果によって、国内の景況感が改善したことは確かだ。

しかし、この改善は期待先行にすぎなかった。2014年4月の消費税率引き上げの後、需要は低迷し実感なき景気回復が続いている。

その中、日銀はほぼ一貫して金融緩和で2%の物価目標を達成すると主張している。しかし、国債の買い入れ額は年間80兆円のめどを下回り、足元では60兆円程度のペースにまで減少している。国債買い入れを続けることが困難になっていることは明確だ。

金融緩和にもかかわらず物価が上昇していないため、異次元緩和の弊害を懸念する専門家も多い。

すでに国際通貨基金(IMF)は、低金利環境による国内大手行の収益力低下に懸念を表明した。利ザヤの確保が難しい中、銀行の資金調達と運用の期間ミスマッチなどが金融システム不安などにつながる恐れが高まっているということだ。すぐにそうした状況が発生するとは考えづらいが、過度な金融緩和が経済のリスク要因になることは軽視できない。

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