元経済ヤクザが断言「小池都知事はケンカの仕方を間違えた」

叩きのめせばいいってもんじゃない
猫組長

勝ち方、負け方が一番大事

ヤクザにとって、暴力はすべての基本である。組織統制も、経済活動も、また名声でさえも暴力が担保する。

配下の組員が遅刻などのミスをすれば「ヤキ」という暴力が行使され、支配地域に他組織が入り込めば暴力によってそれを排除し、支配域内の一般市民が困っていれば暴力を背景にした威力をもって助けることもある。

したがって他組織によって自らの暴力が毀損される事態は、自組織を構成する政治力・経済力・名声の毀損と同じ意味であり、その場合はより強い暴力によってその毀損を補わなければならない。それこそが「ケンカ」である。

 

ただし誤解してはならないのは、ヤクザ組織のケンカ相手は常に同族であるヤクザでかつ敵対勢力であること、またヤクザにとっての暴力は「ツール」であり目的ではないことだ。

暴力がツールである以上、ケンカも相手を潰すことが一番の目的ではなく、むしろ、勝ち方、負け方が重要となる。

1984年に発生した四代目山口組の跡目を巡る分裂によって起こった「山一抗争」において、一和会側は四代目山口組・竹中正久組長、中山勝正若頭の暗殺に成功する。

しかし四代目山口組からの報復はし烈そのもので、86年に稲川会二代目の仲裁によって表面上抗争終結となったものの、四代目山口組から一和会側への硬軟両面での攻撃は続き、10人を超える死者を出した一和会は、山本広元会長が引退し解散となった。

暴力の論理で言えば、一和会側のツートップを殺さなければ四代目山口組の勝ちにはならないはずだが、最終的に山本元会長が殺されることはなく、93年に病院で息を引き取った。

山一抗争を通じて、四代目山口組側は元一和会の面々を受け入れた。山口組に戻った元一和会系組員は外様としてゼロからスタートするのだから、それこそ懸命に組織に貢献。結果、組織はより強固なものになり、経済力も強化されることになった。

組織を完全に潰そうとしていれば、流れる血はさらに多くなった。何より警察当局の介入によって、両方ともが壊滅的ダメージを負うリスクも増える。つまり、ケンカというのは引き際が肝心で、相手を潰すことが正義ではなく、どの程度生かすのか、が正義なのだ。

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死体は何も生まないのだから、生かすことで得るものはより多くなる。ヤクザのケンカは、実は極めて合理的な組織活動なのだ。