「子供はいらない」と言えない人が抱えるモヤモヤを言語化してみた

ママたちを敵視するわけじゃないけど
吉田 潮 プロフィール

「子ありvs.子なし」対立の正体

子供がいる人といない人の対立がよく取り上げられるけれど、よくよく聞いてみると、子供の有無に関係なくて、拍子抜けすることがある。

例えば、時短で働くママに独身女性が「なんで私があの人の代わりに働かなきゃいけないの?!」と文句を言ったり、子供のいない女性に対して、母になった女性が「子供はいいよ~、あなたも産みなよ~」と言ったり。はじめはモヤッとして、だんだんイラッとしてきて、最終的に火が付く、という構図ね。女同士の対立は絵になるし、さらに属性による対立はわかりやすかったりするから、テレビドラマでも垂涎の構図だ。

 

ただし! ふたを開けてみると、そもそも相性の悪い人や、性格や価値観の合わない人だからこそ対立になった、というのが正体だったりする。子供の有無や属性が問題ではなく、根本的に人間同士の相性や好き嫌いが対立を生んでいるのだ。 

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たとえば、SNSのプロフィールに「〇児の母」「夫は〇〇」と書く人がいる。母であることや妻であることを掲げることで、自分の立ち位置を定めている。同じ属性の耳目や共感を集めるためには、とてもわかりやすいなあと私は思う。

でも、この文言に「なぜそれをあえて書くのか」と不快に思う人もいる。「勝ち組自慢したいのか」とか「私はもってますアピール」ととらえる人もいる。この感覚の差、これこそが対立を生む根源。既婚や独身、子供の有無の違いの前に、感覚の違いが必ずあると思っている。

子供の有無は、確かに生活スタイルや経済状況に影響する。まったく異なる環境になれば、共通の話題が減るかもしれないし、距離を置くようになることも多々ある。でも、子供がいようがいまいが、さらには、結婚しようがしまいが、女たちが最終的には仲良く手を取り合って、ともに老いていくというのが私の理想だ。

子供がいても、いずれ大人になって巣立っていく。男性の平均寿命から考えれば、夫も先に死んでゆくかもしれない。母だった人、妻だった人が、再び女同士で結集する。肩からポシェットぶらさげて、尿漏れパッドつけて出かけて、旅先でおいしいものを食べて、うまい酒を飲んで、笑って、温泉入って、心地よくくたびれる。それを楽しみにして、日々働いている。そんな婆さんに、私はなりたい。

吉田潮(よしだ・うしお)1972年生まれ。おひつじ座のB型。千葉県船橋市出身。ライター兼絵描き。法政大学法学部政治学科卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。医療、健康、下ネタ、テレビ、社会全般など幅広く執筆。テレビ『新・フジテレビ批評』(フジテレビ)のコメンテーターなどもたまに務める。2010年4月より『週刊新潮』にて「TVふうーん録」の連載開始(現在8年目)。2016年9月より『東京新聞』放送芸能欄のコラム「風向計」の連載開始。2017年6月よりアラサー女性応援サイト『WOTOPI(ウートピ)』で「産むも人生 産まないも人生」を連載中。著書に『幸せな離婚』(生活文化出版)、『TV大人の視聴』(講談社)ほか多数。姉は、イラストレーターの地獄カレー。公式サイト『吉田潮.com
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