ソフトバンク・千賀滉大「ゼニの取れるフォーク」が生まれるまで

育成出身、2年連続2桁勝利を達成
二宮 清純 プロフィール

大魔神の再来

お化けフォークの正体は?

「僕の場合は、あまり(人差し指と中指でボールを)はさまない。ストレートの握りをちょっと広くしただけ。正直、スプリット(フィンガー)と言ってもいいくらいです」

指も特に長いわけじゃない。お化けの秘密は握りよりも腕の振りに隠されているのかもしれない。

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ホークスOBの柴原洋は地元テレビの解説者を務める。打者目線で千賀のピッチングを分析する。

「バッターは(ボールの)ヨコの動きには対応できますがタテは難しい。追い込まれてから落差のあるフォークをとらえるのは、ほぼ不可能です。カウントを取りにくるストレートやスライダーを狙うしかありません。

あれだけの落差といったら……全盛期の大魔神・佐々木主浩さん以来じゃないでしょうか」

メジャーの洗礼も浴びた。4者連続三振の後、9番ブランドン・クロフォード(ジャイアンツ)に真っすぐをライト前に運ばれた。「これは仕方がない」と本人。

「悔いが残る」のは1番イアン・キンズラー(タイガース)に浴びた左中間へのツーベースだ。二、三塁とされ、内野ゴロで勝ち越しを許してしまった。

1死一塁。2ストライクナッシングと追い込んでいた。三振はとれなくても長打は防がなくてはならない場面。そこへ「フォークが甘く入ってしまった。ワンバウンドのボールを投げていれば……」。メジャーの強打者相手に失投は許されない。

「一球の恐ろしさがめちゃめちゃ身に染みました」。

これは成長のための高い授業料だった、と今は考えている。

 

育成出身のため〝雑草の星〟と呼ばれる千賀。ステレオタイプのレッテルだが、嫌みがない。本人は気に入っているのか。

「そう言ってもらえたらありがたい。〝千賀でもできるんだ〟〝千賀でも、ああなれるんだ〟と思ってもらえれば、僕は素直にうれしいですよ」

頭は低く、目は高く――。好感の持てる〝平成の苦労人〟である。

千賀滉大(せんが こうだい身長186cm、体重86kg。'15年のオフ、22歳の時に結婚。今季の推定年俸は6500万円

「週刊現代」2017年10月14日・21日合併号より