ソフトバンク・千賀滉大「ゼニの取れるフォーク」が生まれるまで

育成出身、2年連続2桁勝利を達成
二宮 清純 プロフィール

メジャーの強打者を相手に

ベスト4に進出した今春のWBC。28人のサムライの中で一番男を上げたのが千賀である。日本人選手ではただひとりベストナインに選ばれた。

4試合に登板し、防御率0.82。大会記録となる16三振を奪った。

大会史上初のタイブレークを制した2次ラウンドのオランダ戦。3番手で登板した千賀は5、6回の2イニングを無失点に封じた。

以下は投手コーチの権藤博から聞いたエピソード。

「5回を何とかしのいでベンチに戻ってきた千賀に『次の回も行くぞ!』と告げたら『嫌です』だって(苦笑)。そ

んなピッチャーいないですよ。変わっているというかピッチャーらしくない。だから気に入って3日後のイスラエル戦では彼を先発に持ってきたんです」

 

蛇足だが千賀も変人なら、権藤も変人だ。なぜか変人の方が仕事ができる。それがプロ野球のユニークさだ。

再び権藤。

「アイツ、イスラエル戦も『嫌です。もう無理です』と弱音を吐くんです。『バカタレ!オマエしかいないだろう』と。アイツのフォークは高めからワンバウンドになるくらいの落差がある。しかもコントロールが悪いから的を絞れないんですよ」

権藤の見立て通りだった。先発・千賀は5回をピシャリと抑え、米国行きに貢献した。強打のイスラエルに付け入るスキを全く与えなかった。

準決勝の米国戦は菅野智之の後を受け、1対1の7回から2番手として登板した。ドジャースタジアムのネット裏ではスピードガンを持ったメジャー各球団のスカウトマンが目を光らせていた。

7回から8回にかけての奪三振ショーは圧巻だった。5番エリック・ホズマー(ロイヤルズ)、6番アンドリュー・マカチェン(パイレーツ)7番バスター・ポージー(ジャイアンツ)。8回に入って先頭の8番ジャンカルロ・スタントン(マーリンズ)。メジャーリーグの名だたる強打者たちを自慢のフォークとストレートで圧倒した。