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知名度ゼロでいきなり世界を獲った覆面ユニットの「ヒットの方程式」

その名は"AmPm"
柴 那典 プロフィール

全米バイラルチャート6位に

——結果、やってみてどうでした?

「そのときの結果はよくわからなかったんですけど、4月に入って、ある日突然Spotifyのグローバルのバイラルチャートにチャートインしてることが発覚しました。それを見て『なんだ、これは!?』となって」

——バイラルチャートというのは、Spotifyユーザーが曲をSNSでシェアした回数に基づくランキングですよね。世界全体でこの上位に入るのは相当なことだと思います。

「はい。だから驚きでした。しかも気が付いたらアメリカのバイラルチャートにもチャートインしてることが発覚して、それも6位にまでなった。

そこから『さてこれはどういうことだ?』と考えました。自分のやったことの何が寄与したんだろうと逆算して考えたんです。

でも、よくよく考えたら、このバイラルチャートというのは何のデータを反映させてるんだろう?ということがわからない。そこからSpotifyのバイラルチャートの仕組みを調べはじめたんですね」

——なるほど。その指標は公開されているんですか?

「アルゴリズムは公開されてないですね。ただGitHubというソースコードを共有しあうサービスがあって、Spotifyもそこにオフィシャルのアカウントを持ってるんですよ。

そこに公開されているコードや、外部に提供されているAPIや、いろいろなものを調べて検証しました。そこで得た仮説をもとにプロモーションをしたのが4曲目の『Life is』と5曲目の『I don't wanna talk』です」

——そこからわかったことはどういうことなんでしょうか。

「『Life is』に関しては、一つわかったのは語学の問題が大きいということですね。あの曲は英語で歌ってますけれど、ネイティブの発音ではなかった。

結局のところ、Spotifyで楽曲がより多く再生されるためには、チャートインすることではなく、むしろどれだけ沢山のプレイリストに入ることができるかというのが大きなポイントである。

そのためにはどれだけネイティブな英語であるかが重要なんです。ここをクリアしないとどうにもならないということがハッキリしました」

これまでのリリース作品

——プレイリストに入ることが大きなポイントであるということですが、「Best Part of Us」が国境を超えてヒットしたのもプレイリストに入ったことが大きかったんでしょうか?

「まさにそうですね。バイラルチャートに入ったことがきっかけで、Spotifyのプレイリストをセレクトする各国のキュレーターの方たちに知ってもらうことができた。それが大きかったんです」

——キュレーターというのは各国のSpotifyのスタッフなんですよね? そこにはどういう風に伝わっていったんでしょうか。

「そこはある意味アナログな繋がりですね。僕らはTuneCore Japanというサービスを使って楽曲を配信しているんですけれど、そのスタッフからSpotify Japanの人に『バイラルチャートに入っている曲がありますよ』と一報を入れていただいた。

そこからグローバルに情報が共有されたという経緯です。もちろん各国のキュレーターの好みや基準があるので、そこからプレイリストに入れるか入れないかは、こちらからはどうにもならない領域ですけれど」

 

——特にこのプレイリストに入ったのが大きかったというのはありますか?

「『Chill Hits』というプレイリストですね。このプレイリストに200万人くらいフォロワーがいるんです。ここに入ったことで、他のいろんなチル系のプレイリストにも入っていった。そこが大きかったですね。逆に言うと『Chill Hits』に入ったことで『なるほど、我々の曲は“チル”なんだ』とポジショニングがわかったというか(笑)」

――ジャンルは意識していなかったんですか?

「ジャンルについての意識はまったくなかったですね。大前提としては、僕と相方が聴きやすくて、あとはトレンドを意識したサウンドであること。あとは曲を聴いただけで頭のなかで絵が浮かぶこと。晴れなのか雨降ってるのかとか、昼なのか夜なのかとか、そういう絵が浮かぶ曲づくりっていうのは、かなり意識してます」

――Spotifyにおいてプレイリストがここまで重要なものになっている理由はどういうところにあると思いますか。

「どのように喩えるか難しいんですけれど、やっぱり洋服を買うにもセレクトショップで店員さんにオススメされた方が買いやすいじゃないですか。それと近いような感覚だと思います。

『こういう気分のときはこういう曲を聴いたらいいですよ』という風にオススメしてくれるものが沢山ある。もちろん音楽が好きな人、音楽に詳しい人はアーティストや曲を直接探して聴くと思うんです。

ただ、現実問題として新しいアーティストを知るきっかけには限界がある。そこで『こんなアーティストがいる』と知るきっかけになるプレイリストが多いのがSpotifyの大きな特徴だと思います」