イノッチとNHK高瀬アナの「朝ドラ」コメントから目が離せない!

やさしい洞察と地味なヤンチャさ
堀井 憲一郎 プロフィール

やさしいイノッチ

次いで、5月31日、51話あと。この回は、工場が倒産して、女子寮をみんな出なきゃいけなくなって、そこで寮のコーラス部の最後の活動ってことで、寮生全員で歌を歌った。みんなで、ぼろぼろに泣きながら歌った。

そのあと、イノッチ。

「おれがやっぱりぐっときたのは、あの子たち、女の子たちはね、一緒の撮影所で切磋琢磨して頑張ってきたわけじゃないですか」

(有働)撮影所って、ドラマの? 現場でね(笑)はいはい

「そっちのほう考えちゃう」

そっかー。

「個人個人が、ほんとの涙だとおもうんですよ、ここでみんな離れ離れになっちゃうねっていう、ね、現場で会えないねっていう涙も込みでおれは、ぐっときたわけ」

そっか、(イノッチは)役者さんだからね、役者もやってらっしゃるから。

「あの子たち、でも、本当に、これからこう、巣立っていくってかさ、羽ばたいていく子たちじゃないですか」

というものです。

寮生はおそらく30人くらいいて、主人公周辺以外だと、セリフがあった役者さんが5、6人で、ほかにもたくさんいたわけで、イノッチはそのへんまで見ているということで、確かにこの人、すんごくやさしい人だなとおもいました。

あと、4月24日19話、父の失踪が確定し母娘で泣きあったシーンのあと、「有働さん、また、泣いてるんですね」「でも朝ドラっていいですよね、日本中が朝から同じ気持ちになるっていう……ひさしぶりに、ハンカチ」と有働さんにハンカチを渡していた。なんか、このイノッチと有働さんのやりとりそのものが、とてもおもしろいんだよね。あくまでやさしいし。

7月31日月曜日、有働さんは「土曜日(のドラマが)つらかった」と言っていた。土曜日(102話)、は失踪していた父と再会したが、父がまったく主人公(みね子)のことをまったく覚えてないという哀しいシーンで、「うそだ、そんなのうそだ」というみね子の叫びが胸を刺した回、それをどうやら有働さんは一人で見ていたのか(さだかではないが)、「土曜つらくてね、一緒に見たかった」とイノッチに言っていた。

すっと何気なくすぎていったけど、これはこれで有働さんが哀しいとおもえる瞬間でもありました。(すません)

イノッチ&有働コンビの「朝ドラ」を受けてのコメントは、さすがにもう7年を越えて続けているので、ドラマが入れ替わってもそつがない。

『わろてんか』第1話も有働さんの第一声は「あれは笑うわ、こんなん二つも来たら」と完全に関西弁モードで受けていて、いきなりトーンやスピード感が変わっても立派にドラマ内容を受けてました(登場人物のドイツ人の頭に蝶々が二匹とまっていた)。

『ひよっこ』は朝ドラ史上もっとも変わったドラマで、それから入れ替わって、昔ながらの女性ものに戻った第1話には、いわくいいがたい違和感が漂っていた。それをなかったようにこなせるイノッチ&有働さんはすごいとおもう。

高瀬アナはまだ、うまく乗り切れてない感じ(1週目)。

『わろてんか』は、大阪のお笑い、しかも古い時代のお笑いということで、おそろしくベタな笑いで始まっていて、なかなか頭がついていきません。

そもそも、子役の子は、育て方を間違えると井伊直虎になってしまいそうだから、すごく混乱します。せめて着物じゃなかったら井伊直虎との違いもわかるんだけど、同じお姫様だからねえ(「直虎」と「わろてんか」の主演子役は一緒。新井美羽。しかも「直虎」では異例の長期に渡って子役をやり続けた。残念ながら、またこの子か、という気配はぬぐいきれない)。

5話目で、ちょっと真面目な芝居がやっと入って、少し締まってきた。お笑いの世界を描くときのギャグの入れようはむずかしく、吉本新喜劇みたいなギャグはそこそこ控えないと、かなりつらくなるとおもう。

高瀬アナは吉本新喜劇的に反応してくれるのだろうか。

朝ドラは、その前のアナウンサーの反応と、そのあとのイノッチ&有働さんの反応ともども楽しむのがいいとおもいます。

(もうひとつ、昼再放送あと13時からのニュースのアナウンサーの視線も少し見所なのだけど、その話はまた。私は、よく土曜に出てくる望月アナの睨みつけるような表情が大好きです。)

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