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元日銀審議委員が直言「黒田総裁、もうお辞めなさい」

アベノミクスの立役者がすべてを吐露

中国やインドなどの新興国が台頭する中、日本経済が成長を維持するのは至難であり、従来の金融政策もそろそろ限界――。元日銀審議委員で、安倍首相の経済ブレーンのひとりとされる中原伸之氏(82)は、アベノミクスを「再起動」して日本経済を維持するには、まず「人心の一新が必要だ」と言う。

景気は1年持つかどうか

「黒田総裁はもう役割を終えたのです。安倍政権はGDP600兆円を目標に掲げていますが、残念ながら黒田総裁の在任中には叶いそうにない」

そう語るのは、元日本銀行政策委員会審議委員の中原伸之氏だ。

中原氏といえば語り草なのが、2013年1月に首相官邸で開催された「金融専門家会合」での一幕である。第二次安倍政権が発足して間もない当時、安倍晋三首相、菅義偉官房長官、麻生太郎財務相などが顔を揃えたこの会合では、金融政策の方針を議論。

当時は日本銀行の白川方明総裁がゆるやかな量的緩和政策路線を進めていたところ、その場で白川路線を批判し、積極的な金融緩和路線を「進言」した張本人が中原氏だった。

会合から2ヵ月後に積極緩和派の黒田東彦・新総裁が誕生して異次元緩和を宣言したことから、後のアベノミクス路線を決定づけた歴史的会合だったとされる。中原氏はまさに「アベノミクス提唱者」というわけだ。

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――あれから4年半が経ちました。中原さんが主張されたアベノミクスの成果は想定通りですか。

「日本のGDP(国内総生産)は確実に増えました。日本の名目GDPは1997年に533兆円をつけたのが長らくピークで、その後は2009年から2012年にかけて500兆円を割り込んでいましたが、2016年にはようやくピークを超えて538兆円にまで回復しました。

やはり大きかったのは日銀の大規模金融緩和です。為替が円高から円安に転換したことで企業の利益が大きく膨らみ、日本企業全体では4年連続の増益を達成した。

しかし、そんな金融緩和策にはここへきて一種の手詰まり感が出てきています」

 

――手詰まり感、とはどういうことですか。

「日銀は黒田総裁のもとで量的金融緩和策を4年以上にわたって行ってきましたが、そろそろ限界に直面しています。

日銀はこの間に日本国債などを大量購入してきましたが、結果として資産規模が今年6月末に500兆円を突破するようになりました。

アメリカや欧州や中国の中央銀行も同じような金融緩和策をしていて、FRB(米連邦準備制度理事会)が4.5兆ドル、ECB(欧州中央銀行)が4.3兆ユーロ、中国人民銀行が34.7兆元という具合に、その資産規模も同様に500兆円レベルに達している。ここから日本だけが突出して資産規模を大きくしづらくなってきたわけです。

仮にこうした状況下で金融ショックのようなことが起きると危ない。中央銀行の打つ手が限られている中、急な円高になったり、バブルが突然弾けたりすると、対処ができない可能性がある。

いま日本経済は57ヵ月も景気拡大が続いており、この8月に高度成長期のいざなぎ景気('65年11月~'70年7月)に並びました。

戦後最長のいざなみ景気('02年2月~'08年2月)の73ヵ月を超えるとも言われていますが、それでもこの景気はあと1年持つかどうか。アベノミクスはいま一度、経済政策を立て直す必要があります」