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前代未聞!今度の選挙で自衛隊が心底、困っている裏事情

北朝鮮情勢も心配だけど、こっちも…
現代ビジネス編集部 プロフィール

2万部を超えるパンフレットが…

観閲式は1996年以降、陸上自衛隊・海上自衛隊・航空自衛隊の持ち回りで実施されている。その呼称は、陸上自衛隊担当の場合、「中央観閲式」、海上自衛隊担当の場合は「自衛隊観艦式」、航空自衛隊担当では「航空観閲式」となる。

今回は3年に1度の航空観閲式だ。行進に参加する人員だけでも1,000名以上、航空機は米軍も大挙して参加するため100機以上がやってくる。ブルーインパルスが華麗な展示飛行を繰り広げ、1万人を超える来賓、招待者が招かれる。一大イベントなのだ。

横田基地にある航空総隊司令部総務部企画室内には、航空観閲式準備室が設置され、数十人の担当者が入念な準備を重ねてきた。ところが、である。

「3月1日から半年以上もかけて作業してきたんですが……。実は、2万部を超えるパンフレットは、既に印刷されているんです」(冒頭の空自幹部)

観閲式の式次第パンフレットには、最上段に「観閲官」こと内閣総理大臣の名前と、主催者である防衛大臣の名前が記載されている。そこには当然、「内閣総理大臣 安倍晋三」「防衛大臣 小野寺五典」と刷られているのだ。

22日の投開票の結果次第では、政局はさらに流動的になる。どこから出たか、小池氏が自民党の石破茂氏が総裁候補になれば、首班指名で支持するという説まで流れている。いち国民から見ても大変な混迷ぶりだが、空自関係者にとっての大問題は、観閲式までの1週間の間に何が起こるかだ。

 

いかに最近はインターネットを通じて、24時間、パンフレットの注文が可能な印刷会社もあるとはいえ(テレビコマーシャルもよく見かけるようになった)、まさか自衛隊が観閲式の公式パンフレットをスマホでポチッと注文するわけにはいかない。

これも防衛予算をかけた公的な発注になるのだから、そうお手軽に「楽する」ことはできないのである(ネット印刷のラクスル社を排除するという意味ではない。念のため)。

「首相交代は確定的」という噂に戦々兢々

仕方がないので、空自は現在、大手印刷会社に依頼し、最速印刷のラインを確保しているそうだ。国側の都合による刷り直しなので、料金は100%発注者負担。つまり、国民の税金で成り立つ防衛予算が使われる。

出来るなら、このままパンフレットを使いたい……。「政権選択」といった政治的な思惑とは異なる悲鳴が、関係者からは上がっている。

倉庫にはすでに、刷り上がって納品されたパンフレットがうずたかく積み上げられてる。シールで名前を貼りかえるという奇策もありえるが、考えただけでも気の遠くなるような話だ。

準備室の面々は「22日の選挙結果に戦々恐々としている。いずれにしろ、徹夜の突貫作業に備えるしかない」と悲壮な覚悟でいると空自幹部は話す。

さらに驚くべきことに、自衛隊から各省庁に派遣されている出向者の間では、「首相交代論は、ほぼ確定している」と、まことしやかに噂されていると別の防衛省幹部は語った。

首相交代となれば、当然ながら大臣、副大臣、政務官も変わる可能性が高い。霞が関の官僚たちは「すでに準備に入っている」と、この防衛省幹部は言う。

防衛官僚たちも他省庁と同じく、自らの地位にかかわる問題には敏感だ。メディアで流れる選挙予測よりも、はるかに精度の高い情報を得ている場合が多いのだが、その彼らが「首相交代論」に一喜一憂し、固唾をのんで見守っているというのだから、この選挙の先行き不透明感は、まさに「前代未聞」のレベルだと言えよう。

今回の解散を指して、「北朝鮮危機が迫る中で選挙をしている場合か」と批判する声もあったが、外患だけでなく、思いがけない内憂が自衛隊を悩ませている。