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よい睡眠は「食事で作れる」⁉
ブルーバックス編集部 プロフィール

生活リズムを決めているのは「時計遺伝子」

そもそも、人間の規則正しい睡眠のリズムはどのようにして作られているのでしょうか? ここで重要な役割をはたしているのが、私たちの体に備わった体内時計と呼ばれるものです。

体内時計とは、地球上のほとんどすべての生物がもっている、地球の自転周期に一致した約24時間のリズムを刻むシステムです。最近の研究から、この体内時計が時計遺伝子と呼ばれる遺伝子群によって動いていることがわかってきました。

それでは、睡眠リズムの乱れ=体内時計の乱れ、と考えてよいのでしょうか? 実は、それほど簡単ではないようです。

 

「哺乳類の体内時計の中枢は、脳内の視床下部に存在しており、中枢時計とよばれています。中枢時計の位相は、環境の明暗リズムによってほとんどすべて決まってしまっていて、食のリズムをかえても、中枢時計のリズムは変化しないんです。

睡眠のリズムが乱れるというのは、実は、時計自体ではなくて、時計から睡眠を制御するメカニズムにおいて何らかの問題が起こっているのではないかと考えています」

つまり、体内時計の刻む時間と、睡眠をはじめとする生理機能のリズムがうまく合っていないような状態が、疾患として現れると考えられているのです。

大石研究室では、より積極的に体内時計のメカニズムを利用する方法についても研究を行っています。たとえば、同じものを食べる場合でも、朝食べるのと夜食べるのでは、どのように体への影響が異なるのか? といったことが体内時計との関係で明らかになってきているというのです。

次回はこのような「時間」と「食」をつなぐ「時間栄養学」について大石さんにお話を伺います。

取材協力:

[リンク]産総研