「東京ひとり勝ち」というデータ無視の誤解が、地方創生をダメにする

小池都知事の発想は間違っていない
池田 利道 プロフィール

では、そうした東京23区への人口集中を担っているのは、どんな人たちなのだろうか。

【図表1】は、2010~15年の5年間に23区に転入してきた人の数から、23区外に転出した人の数を差し引いた「転入超過数」を年齢別に記したものだ。

増えているのは、10代後半から20代というごく一部の年齢層に限られていることがひと目でわかる。しかも、転入超過が増えるのは18歳以降で、15~17歳は転出入がほぼ均衡している。また、30代~40代前半と10代未満の子ども、つまり子どものいる家族世帯は転出の方が多い。

データをより詳しく見ると、大きく転入超過となっているのは、年齢にかかわらず「未婚者」なのである。核家族が88,000人の転出超過であるのに対し、ひとり暮らしは134,000人の転入超過となっている。

これらの数字を解釈すると、進学・就職・転職などを機に23区に集まってきた若者たちは、結婚して子どもが生まれると23区外に引っ越していき、ひとり暮らしの未婚者が23区にたまり続ける、という現状がはっきりと見えてくる。東京都の出生率が低い(2016年の特殊出生率は全国最下位)理由は、23区に未婚者が多いからにほかならない。

なお、【図表1】を見ると、高齢者も転出超過となっている。これは、高齢になると、(同居するかどうかは別として)子どもが住む郊外のまちへと引っ越していくためである。

 

23区周辺での人口「キャッチボール」

国も自治体も、そしてメディアも、「一極集中」という言葉から、他地域からの人口増加を連想しがちだ。しかし、「結果」としての増加だけでなく、その結果を生み出す、転入と転出が織りなす人口移動の「構造」まで見ないと、実態は見えてこない

【図表2】に見るように、23区への転入者総数に占める、地方からの転入者の割合は4分の1ほどに過ぎない。

一方、23区内の他区からの移動と、23区外の東京圏(東京都多摩地域と埼玉、千葉、神奈川各県)からの転入を合わせた数は、転入者総数の3分の2を占める。なお、23区外の東京圏からの転入は、その大部分が、東京に通勤可能な近郊エリアからである。

転出者数も同様で、23区内の他区への移動と、23区外の東京圏への転出を合わせると、7割を超える。要するに、一極集中といわれる現在の23区の人口増は、23区とそれを取り巻くきわめて限られたエリアにおける、人口の「キャッチボール」の結果に過ぎないのだ。