自衛隊の次期戦闘機・F35、実は「重要ソフト」が未完成だった

【スクープ】もうすぐ配備されるのに…
半田 滋 プロフィール

日本の技術者を排除して「最終検査」

さらにF35をめぐるFMS調達によるもう一つの弊害が先月、日本の会計検査院の調査によって明るみに出た。

三菱重工業で組み立てる38機は、2013年度防衛費で調達を開始した2機分の生産から始まったが、国内生産が計画通りに進んでいないのである。

IHIで製造するエンジンについて、IHIと米プラット・アンド・ホイットニー社との間で締結しなければならない19品目の契約がまだ結ばれていない。

また、三菱電機でつくるレーダーなどの電子機器類は、三菱電機とノースロップ・グラマン社との10項目の契約がやはり未締結となっている。

この結果、13年度から生産を始めた2機に国内生産のエンジンやレーダーを組み込むことが不可能となり、14年度から生産開始した4機についても国内生産品を搭載するのが困難な状況となっている。

15、16、17各年度の調達分はそれぞれ6機で近く組み立て作業に入る予定だが、いつになれば国内生産品を組み込めるかは不透明だ。

 

現在、三菱重工業で行われている組み立て作業は、米政府を経由して提供された外国製の部品を使っている。防衛省が機種選定の際、3番目に重要な条件として挙げた国内企業参画は「絵に描いた餅」というわけだ。

なぜ、こんなことになったのか。

防衛装備庁の坂本大祐事業管理官(航空機担当)は、IHIと三菱電機の米企業との契約の遅れについて「米政府の秘密保全の姿勢が厳しいことにより、米側の示した条件をクリアすることや、必要な素材の米国からの提供に時間がかかっている」と説明する。

「秘密にかかわるので細部は話せない」というが、国内で生産するとはいえ、FMS方式の厳しい制約が掛かり、米政府が要求する製造方法や製造環境を整えるのが難しいのだという。

いつまでも国内メーカーが米政府の基準をクリアできなければ、米政府が提供するエンジンやレーダーを組み込むほかない。防衛省が支払うカネは国内に回ることなく、米政府に流れていくことになる。

三菱重工業の小牧南工場で現在行われている組み立て作業では、完成した機体を別棟の検査工場に移し、日本側の技術者を排除した中で米側だけで最終検査が行われる。

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