「地元帰るか、ソープで働くか」に悩むアラフォー女子の憂鬱

A子ちゃんとB美ちゃんの複雑な感情⑥
鈴木 涼美 プロフィール

女としての自分の身体を担保にして

たまたま店で知り合った週刊誌の記者に進められて、求人情報誌のライターの仕事をするようになってからは、時代背景もあってかなり充実した毎日を送っていたらしい。その頃の彼女を詳しく知らないが、コラムの連載もあったし、雑誌がイベントを開く時はスタッフとしてタレントやモデルの相手をしたりもした。

収入は最も良い時で50万円近くあったこともあり、キャバクラは一旦辞めたり、臨時収入が必要なときにまた適当な店に面接に行って週に2回、短期で働いたりの繰り返しだった。

 

服や化粧品で散財するタイプではないが、収入が良ければそれなりの使い道はあった。犬関係のグッズだけでなく、東北に食べ歩きの旅行に行ったり、友人たちと大阪のUSJに行ったり、韓国旅行もしたし、習字の教室に通ったこともある。お金を貯めたところで高額の欲しいものがあるわけではなかったから、お金は貯まらなかった。

貴重な収入源だった求人情報誌や男性向け情報誌は、編集体制を縮小し、なくなる雑誌もあった。結局、無名の彼女が暮らしていけるほどライター業で稼げたのは5年に満たない。その後も契約社員としてネイル雑誌の編集部で働いたり、友人の知り合いがオープンしたカフェを手伝ったりはしていたが、9万円の家賃を払っていれば当然貯金などできなかった。

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「でも、普通のフリーターは、多少貯金して、家の更新とか病気したとかそういうときにその貯金切り崩してなんとかするっていう感じが普通でしょ。貯金がないぶん、そういうときにだけキャバクラに戻る。幸い、最近はアラサーの需要あるしね」

ある意味、女としての自分の身体を担保にして、彼女はなんとか借金地獄に陥ることもなく、栄養失調になることもなく生き延びていた。しかし30歳を過ぎ、35歳を過ぎてからは、キャバクラでバイトをしたところで、短期でしか働かず太い客も持たない彼女に提示される時給は3000円に満たないことが増えた。それでも、家賃9万円はギリギリ払えたし、犬も彼女も飢え死にはしなかった。