白人至上主義者の暴動事件を、米メディアが報じ続けるその背景

シャーロッツビル事件の本質は何処へ…
寺田 悠馬 プロフィール

アメリカ合衆国の、それぞれ初代および第三代大統領を務めたワシントンとジェファーソンは、南部連合にこそ加担していないが、奴隷所有者であったことは周知である。

大統領は、この不都合な事実を参照して、奴隷制との関係を根拠にリーやジャクソンの銅像を撤去すると言うなら、「建国の父」として畏敬される二人の銅像も、同様に撤去するのか? と、問いかけたのだ。

〔PHOTO〕gettyimages

かくして、100年以上前に生きた軍人や政治家の銅像が、不意に議論の前景に浮上してくる一方で、2017年現在、たいまつを掲げた男たちが、ナチス党のスローガンを叫んで夜道を練り歩いている現実が、大統領によって、背景に退けられてしまう。

だが、この舞台装置の入れ替えにいささかの不審を抱く間も無く、数多の報道機関――その多くは、大統領への反感を露わにしてきた報道機関である――が、大統領の問いにごく生真面目に反論して、銅像の「意味」を論じ始めてしまうのだ。

 

「リーの銅像を撤去して、ワシントンを残すべき理由」という見出しで、大学教授による寄稿文を掲載したのは、ニューヨーク・タイムスである。

「トランプ氏への回答として、公共の場における記念碑の建立について、簡単な基準を提案したい。つまり、銅像の題材となる人物は、自由と国民による自治という、アメリカ的実験に献身的であったか否か、という基準だ」

従順な優等生の身振りで、大統領に回答を提出する大学教授は、ワシントンやジェファーソンの奴隷所有については「彼らが生きた時代と場所」の問題とした上で、「アメリカ的実験」に貢献した二人の銅像を残し、リーの銅像を撤去することを推奨する。

この主張は、同じくニューヨーク・タイムスの社説に見られる、「ワシントンとジェファーソンは、その欠点の重大さにかかわらず、アメリカの自由を守った英雄として記憶されている。一方で、リーは、暴力的な国家分裂を象徴する人物である」という一説と自然に調和し、大統領への回答の典型例を形成するだろう。

他にも、リベラルなメディアとして若年層に支持されるヴォックスは、「図解:南部連合の銅像について、トランプが間違えたこと」という見出しで、銅像が建立された時代背景に注目し、その「意味」を論じている。

“What Trump Gets Wrong About Confederate Statues, in One Chart,” Vox. August 15, 2017.
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南部貧困法律センターの研究から転載された分布図は、シャーロッツビルのリー像をはじめ南部連合に纏わる記念碑の大半が、じつは南北戦争当時ではなく、その後の米国史において、人種差別が顕著になった時期(1900年頃から1920年代と、1950年代から1960年代)に建設されたことを明らかにする。

したがって、これら銅像は白人至上主義を代弁すると指摘するヴォックスは、「南部連合とワシントンの銅像を同一視するトランプ氏の発言は、当を得てない」と回答するのだ。

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