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こんなに少子化対策している日本で、子どもが増えない厄介な矛盾

そろそろ政策の検証が必要だ

少子化は政策で止められるのか

「1.57ショック」という言葉を覚えておられる中高年の方は多いだろう。女性が一生に産む子どもの平均数をあらわす合計特殊出生率が、当時過去最低の1.57であることが判明したのは1990(平成2)年。これ以降、少子化は日本の命運を左右する重大な社会問題とされてきた。

このような「国難」を解決すべく、さまざまな少子化対策が四半世紀にわたり実施された。しかし2016年の合計特殊出生率は1.44。「1.57ショック」の頃の水準にすら回復していない。

「出生率が回復しないのは、これまでの少子化対策が質量ともに不徹底だからだ」と思う方もいるだろう。それゆえか、国会、地方議会、新聞、テレビ、ウェブ、SNSなど、さまざまな場所で、新しい少子化対策が提案されている。

しかし政治や行政やマスコミの間で、どの少子化対策がどの程度効果があったのか、なかったのかに関して、しっかりした議論や検証がなされているかといえば、実はいささか心許ない。

むろんいくつか重要な例外はある。本コラムは今後、そのような数少ない検証例の再検証を試みることにしよう。今回は、現在の内閣総理大臣が提案する少子化対策を検証することからはじめてみたい。

 

「幼児教育無償化」は画期的だが…

2017年9月25日、安倍晋三内閣総理大臣が記者会見をおこなった。衆議院の解散総選挙前の乾坤一擲というべき記者会見であり、事実上の選挙公約といってよい内容であろう。

中でも、子育て支援に関する言及は、いくつかの点で画期的であったと評しうる。

第一に、幼児教育の無償化、待機児童の解消、子育て世代への投資が、従来のワーク・ライフ・バランスや男女共同参画、女性総活躍といった枠組みをこえて、「人づくり革命」として位置づけられたことである。

とりわけ「2020年度までに3~5歳まで、全ての子供たちの幼稚園や保育園の費用を無償化します(下線部、引用者)」と述べられていることは重要である。

これは従来の子育て支援や少子化対策が、男女が共に働き、子どもを育てる「共働き」の家庭ばかりを重視してきたことに鋭く反省を迫っている。

今回の提案は、共働き、片働き、ひとり親家庭といった、親のライフスタイルにかかわりなく、日本国民である限り、子どもが受け取るサービスは平等であるべきという普遍主義的な福祉政策につながりうる視点である。