泣けて泣けて泣けた…「ひよっこ」の名セリフ【みね子の叫び編】

あの感動をもう一度④
堀井 憲一郎 プロフィール

イヤになったんでしょ、私たちのこと、というみね子の心情が痛切だった。

イヤになったんでしょ、そりゃ、わたし、わがっから、という言葉、「お父ちゃんがここにいたいなら、いいよ。お父ちゃんがここにいたくて、帰りたくないなら、わたし……会わなかったごとにすっがら……帰るし……今日のごとは忘れっから…」という、ひたすらのやさしさ。

哀しい叫びに込められた、みね子のやさしい心根が、このドラマを象徴していた。いま、書き写していて、みね子の声がよみがえってきて、また、ぼろぼろに泣いてしまった。

 

出ていって欲しくなかったんです」

茨城の母に連絡し、ふたたび母娘で川本世津子の家にくる。

こんどは母美代子の切烈な言葉が出る。〔106話。8/3〕

美代子の言葉は、世津子に向かう。

「谷田部家として、妻として、まずはお礼を申し上げます。さまよっていた夫を助けていただきました。ありがとうございました。助けていただかなかったら夫はどうなっていだがわからないと思います。感謝いたします……今日は夫を引き取りに参りました」

「でも、どっしても、私にはわがりません。なぜ、2年以上もそのまま……もし、あなたが、病院や警察に届け出てくれてたら、夫は、私たち家族のもとへ戻ってきたんではないでしょうか…」

「この2年半、家族がどんな思いで生きてが、わがりますかっっ……これが、私たち家族です(写真を出す)…これが、夫の父です、こっちが次女のチヨコ、これが長男のススム……どんなおもいで……どんなおもいで私たちが……私たちが、生きてきたか、わかりませんかっっっ。考えもしませんでしったかっっっっ。この人に、家族はないのだろうか、その家族はどんな思いでいんだろうかって考えもしませんでしたかっっっ……みね子はいなぐなった父親の代わりに、家族に仕送りにするために東京にきました。……この子が、どんな気持ちで、はだらいでたが、わかりますか。その仕送りを、どんな気持ちで受け取っていたが、わがりますがっ。お金のことだけを言ってるんではありませんっっ。どうしてっ」

でも、美代子の叫びは、宙を舞う。

川本世津子は、静かに答えた。

「出ていって欲しくなかったんです……いけない、間違っていると…おもいながら、いつかはそうしなければいけないとおもいながら……そのままにしてしまいました………」

「……楽しかったです、一緒にいるのが……」

「雨の日に出会ったので、アメオさんと呼んでいました……初めて……早く家に帰りたいと思った(泣)……生きていて初めて……そんな時間でした……でもやはり、許されることであるわけはなく……偶然みね子さんと知り合ったのも、そういうことだと、おもいます………今日まで、ほんとうに、申し訳ありませんでした(泣)……」

世津子に泣けた。