「ひよっこ」戦争体験者の心情の描き方がゾッとするほどリアルだった

あの感動をもう一度③
堀井 憲一郎 プロフィール

殺し合いしそうだったイギリス兵が、莞爾と笑って去ったので、残りの人生は笑って暮らしている、というのは、とても素敵なファンタジーだとおもう。すばらしい(この週のタイトルは「俺は笑って生きてっとう!」だったのだが、私の耳にはどうしても、「生きてっどー」としか聞こえない)。

ムネオおじちゃんは、このあとみね子にこう言って茨城に戻った。

おめえよ、ローリングストーンズってバンド、知ってっか。なんかな、あいつらはよ、イギリスからおれに、喧嘩売ってる感じがするんだわ。売られた喧嘩は買わねえとな。そのうち日本さ来るわ、きっと……だからよ、おれはまたおめえに会いに来るって意味だ。わかっか」〔84話。7/7〕

ローリングストーンズは1973年、このビートルズ公演の7年後に来日公演が予定されたが、ミック・ジャガーの入国が拒否されて、中止となった。ムネオおじさんは、茨城で大咆吼したはずである。

結局、ストーンズが初めて日本公演を行ったのは、平成に入ってから、1990年のことだった。

このとき、水道橋駅の歩道橋上にいたダフ屋が人に囲まれて、「5万円ないなら諦めな」というようなことを言っているのを、公演に向かっている私は聞いた。会場に入れなかった人たちが、東京ドームの壁に耳をつけて聞こうとしているのを見た。その話は、また。

(→最終回【泣けて泣けて泣けたみね子の絶叫編】はこちら http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53070

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