感涙!「ひよっこ」の忘れられない名セリフ【ミツオと豊子の絶叫編】

あの感動をもう一度①
堀井 憲一郎 プロフィール

「そういう、恋なんです」

女優をめざすトキコのことを、ミツオはずっと好きである。彼女への思いを勤め先の東京日本橋の米屋の娘・さおり(ミツオが好き)に話した。〔126話。8/26〕

ま、そんじょそこらの片思いとはわけが違う。自分の人生、ほとんどずーっとトキコに片思いです。それでいいんです。わかってんです

ひとり納得しながら、ミツオは語る。

そして、片思いなのと同んなじくらい、親友でもあるんです。だから心の底から一点の曇りもなく、おれはあいつの夢を応援してんです

わがっでもらえっかどうかわがんねえけど、おれに惚れられてるってことは、あいつにとって、力になんです。必要なんです。だからね、おれは、トキコが夢を叶えるまで、片思いしてなきゃいけないんです。そう決めてんです。そういう、恋なんです

淡々と説明していた。切なかった。

そして、それをまた、トキコがこっそり外で聞いてたんだな(そういうこっそり聞きが多発していた。楽しかった)。

しばらくのちに、ミツオを訪い、トキコは宣言する。

わだし、これ(「ツイッギーそっくりコンテスト」)に出っがら。スターになっがら。ぜったい優勝するつもりだから。だからさミツオ………いままで、ありがと……いままでありがと。ほんとにありがと。お互い、がんばろうね、これがらも。それを言いに来た」〔129話。8/30〕

やさしくしてくれる。でも恋には応えてくれない。しかし彼女は自分の人生に真摯である。きちんと恋を断ってくれた。いい娘だ。

だから、わがことのように、心が痛む。

 

トキコを見つめるミツオの悲哀

「ツイッギーそっくりコンテスト」のリハーサルで、そして本番の舞台上で、トキコはこう叫んだ。

助川トキコです。日本中の、いや、世界中の女の子たち。女性たち。いろいろ大変だよね。女として生きていくのは。でも、でも、女の子の未来は私に任せて。みんな、私についてきて!」〔141話。9/13〕

会場から悲鳴が上がった。スターが誕生した瞬間だった。

ミツオは会場にいた。トキコを見つめていた。輝いていた。おそらく優勝できるのだろうとおもって見つめているミツオの表情は、ときに嬉しげで、そしてしっかり哀しそうだった。悲哀そのものの表情で見つめていた。

トキコの優勝を目撃し、飛び上がって喜び、歌を歌いながらミツオは帰った。

滂沱の涙を流しながら、歌いながら帰った。

そして、米屋の娘と一緒になる道を選んだ。

余計なお世話ながら、高校卒業して最初に勤めた家の娘と結婚するのは、いや、ちょっと早まっているんではないか、と心配である。うん。どうだろう。いや、早まっているとおもう。

もちろん早まっても不幸になるわけではないが、うーん、何というか、男としては確実に早まっているよ。余計なお世話だとおもう。しかし、あとで後悔するぞ、ぜったいするって、と強くおもったが、余計なお世話だろう。

いや、早まってるって、ミツオ。いいけど。