会見する小池百合子「希望の党」代表 photo by gettyimages

代替案なしの「増税先送り」なら、日本の財政を誰も信用しなくなる

「希望」だけでは国が滅びる

二度あることは三度ある――。過去二回の先送りに続いて、2019年10月に予定されていた消費増税の実施が風前の灯火だ。その仕掛け人は、総選挙の公約として消費増税の凍結を打ち出した、「希望の党」の小池百合子代表(東京都知事)である。

すでに本稿を執筆している時点(10月1日)で、希望の党は100議席を大きく上回る議席を獲得する勢いをみせている。同党は総選挙後の政界でキャスティングボードを握り、消費増税が先送りされる可能性が非常に高くなってきた。

そこで急務となるのが、先進国で最悪の状態に陥っている日本の財政に対し、不安を抱かせないための総合的なプランの提示だ。小池代表には、一刻も早く、同党が主張する「徹底した歳出削減」という増税代替案の青写真を示す責任がある。

 

安倍首相の増税公約に、経済界は安堵

この1ヵ月、消費増税をめぐる論議は、後出しジャンケンの応酬だった。

まず、9月1日。民進党の代表選で「足元の消費不況などを見れば、消費税増税という大衆課税は到底できない。安倍首相の二度の先送りで、三党合意はもはや破棄されている」と訴えた枝野幸男元官房長官に対し、「消費税率10%への引き上げは、私が民主党政調会長として三党合意を行った。これに責任を持ちたい」と、前原誠司元外相が退けたのが始まりだ。

前原元外相は、増税そのものは断行する一方で、増収分すべて(約5.6兆円)を財政赤字の補てんに回すのをやめ、教育の無償化に充てる、資金使途の組み換えも主張した。

その後、森友学園への国有地払い下げ問題や加計学園の獣医学部新設問題で急落した支持率が、核・ミサイル発射実験をくり返す北朝鮮問題への不安などのために幾分持ち返すなかで、安倍晋三首相は衆議院の解散・総選挙を決断した。

安倍晋三首相増税分の使途組み換えについて説明する安倍晋三首相 photo by gettyimages

解散の大義名分として、消費増税そのものは実施するものの、前原案より小幅(約2兆円)ながら、資金使途の組み換えを行いたいので国民の信を問う必要がある、と説明した。その組み替えは、借金返済に充てる部分を削り、幼児教育の無償化や高等教育の負担軽減の予算に転用するというものだ。

実は数年前から、安倍首相は水面下で周囲に、「増税は、一つの内閣で一度やれば十分責任を果たしたことになる。二度も得票を失うことはしたくない」と漏らし続けていた。その頑なさは、財務省幹部が消費増税をめぐる状況説明に訪ねても、ひと言の発言も許さず退室を命じるほどだったと聞く。

それだけに、既定路線とみられていた三度目の消費増税の先送りを安倍首相が断念したことは、資金使途の組み換えによってただでさえ難しい財政再建が一段と遠のく面があるとはいえ、先送りよりは歓迎すべきだ。多くの経済界首脳たちは、安倍首相の変心に安堵のため息を漏らしたことだろう。

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