石田えりが56歳にして「ヘアヌード」を出す理由

まさか、あの巨匠が撮るなんて…
花房 麗子 プロフィール

巨匠の心を鷲掴みにしたエリィ

リンドバーグによる撮影のラストは、一風変わっていた。映画やドラマのメイキング映像などでよく見るように、撮影終了時というのは、「撮影終了!」という声とともにスタッフから盛大な拍手があがったり、「お疲れ様でした!」の声がかかったりするものだ。

ところが、リンドバーグは、そうしなかった。最終カット(カメラを正面から見つめる石田のポートレイトだった)を撮ったリンドバーグは、じっと彼女の顔を覗き込み、写真を撮り、カメラを覗き込んで撮ったカットを確認していた。何分も。

そして、小さくうなずくと石田の元に赴き、手を取って立たせた。手を取り合ったまま、二人は無言で、着替えのトレーラーハウスまで歩み去って行ったのだ。スタッフは誰も何も言わない。とても静かなエンディングだった。

石田は、その最後のショットを、写真集最後の1枚にすることを望んでいる。

衣裳を脱いだ彼女が、私たち日本側スタッフの車に乗り込んだ。車が撮影現場を去るとき、偶然振り返った私が目にしたのは、ぼーっと無防備に佇み、こちらを=石田の乗った車の後姿を見ているリンドバーグの姿だった。

青春映画のエンディングのようだと思った。高校のプロム(卒業パーティ)が終わり、16歳の少年ピーターが、ひととき共に踊った少女エリィが去って行く姿を見送っている……。そんな光景にしか見えなかった。

「見ましたか? 今のピーターの姿」隣にいたコーディネーターのO氏が言う。
「私は彼と何度も仕事をしてきましたけれど、あんな姿を見たのは初めてです」
私の感じたことは、どうやら間違っていなかったようだ。

後日、ピーター・リンドバーグのマネージャーから来たメールには、こうあった。

Peter is EXTREMELY happy with the pictures.

日本から来た56歳の「エリィ」は、間違いなく世界的巨匠の心をわしづかみにしたのだ。

写真集のタイトルは「56」。12月に発売を予定している。

「56」はamazonで予約受付中だ(amazonはこちらから)