「伝える」をいうことを僕に教えてくれたイギリスと21人の生徒たち

立命館大・中川毅教授が新米だったころ
中川 毅 プロフィール

これはその年に、ニューカッスル大学の地理学教室で開講されたすべての科目の中で、もっとも少ない受講者数だった。自分が講師として未熟であることは分かっていた。私はその21人のために、せめて全力を尽くしたいと思った。

それから冬学期が終わるまでの4ヵ月間を私がどのように過ごしたか、ここで語ることはしないでおこうと思う。ただ結果として私の講義は、年度末に無記名でおこなわれた学生アンケートにおいて、教室全体の最高ポイントを獲得することができた。この場所で働き続けてもいいのかもしれないと、はじめて思うことができた瞬間だった。

 

今年の2月に講談社ブルーバックスから上梓した拙著『人類と気候の10万年史』は、ニューカッスル大学で毎年15回にわたって実施していた最終学年向けの講義のうち、ハイライトにあたる第8回から第11回までの内容を土台としつつ、最新の成果を付け加えた構成になっている。

まったく退屈ということは、さすがにないだろうと思っていた。だが、まさか講談社科学出版賞をいただけるとまでは想像していなかった。

もし私の本に、何らかの楽しめる要素が含まれていたとすれば、その一端はニューカッスル時代に絶えず自分に問いかけていたあの質問、「学生が退屈しはじめている。さあ、あなたならどうする?」に発している気がする。

最初は21人だけのために練り上げた内容だったが、日本でより多くの皆さんに楽しんでいただけたら幸いである。

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