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クルマの「完全自動運転」でなくなる職業・モノ全リスト

運転手がいらない世界はもうすぐそこに

渋滞も、信号もなくなり、自動車保険も、 タクシー運転手も、整備士も必要ない。事故が起こらず、マイカーもいまほど必要とされないクルマ社会ではなにが起こるのか。

ハンドルは「飾り」になる

大量生産技術を確立させ、庶民にも手が届くようになった初の大衆車「T型フォード」がアメリカで開発されたのは1908年のことだ。それから110年が経とうとしているいま、自動車業界は大変革のときを迎えている。

自動車国内生産台数世界一の中国が、環境保護を理由として将来的にガソリン車・ディーゼル車の販売を禁止することを検討する、という驚きの方針転換を示した。

イギリス・フランスも2040年までにEV(電気自動車)の全面普及を目指すとしていて、既存のクルマ社会とはまったく違う、はるかに進歩した姿を想像している。

それに呼応するように、自動車メーカーは最先端の運転技術を次々と世に送り込んでいる。

欧州自動車メーカー「アウディ」が'17年秋に発売を開始する「A8」は、高速道路で走行しているとき、一定速度以下ならドライバーに代わって自動で走る機能を搭載する。

6段階(レベル0~5)ある自動運転のレベルで「レベル3」となるA8は、法律さえ許せばドライバーが自動運転中にメールをチェックしたり、ディスプレイで動画を見ていても運転に支障はない。

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日本は、また欧州との開発競争に敗れたのか――。そう落胆するのは早い。日産は'22年、ホンダが'25年までに、ドライバーの操作を必要としない「完全自動運転車」を実用化すると発表し、世界を驚かせている。

日産とホンダが開発するのは6段階中の「レベル4」で、運転はすべて自動。ハンドルやブレーキはついているが、ほとんど「飾り」に近い。

自動運転車が公道を走る日は、もっと早く訪れるかもしれない。日本政府は、「東京五輪」をメドに技術開発を急いでいて、五輪の来場者を乗せるバスやタクシーを「ドライバーレス」にすると宣言している。

これらの自動運転車、そして究極の「レベル5」――アクセルやブレーキといった運転に不可欠のパーツはなくなり、ドライバーは運転手席と後部座席をリムジンのように向かい合わせにして、同乗者と会話やゲームに興じる、そんなクルマ社会が当たり前になるのは決して遠い未来ではない。

 

ドライバーが必要ない世界――すぐにはイメージできないかもしれないが、そこには現在とはまったく違った交通環境が広がっているのだ。

「まず完全自動運転では、クルマ用の信号は必要なくなるかもしれません。歩行者や接近するクルマを自動で認識して、事故なく通行するようになるからです」(自動車評論家の清水和夫氏)

歩行者が誰もいないにもかかわらず、長い信号待ちでイライラ……そんなストレスからドライバーは解放される。信号待ちの時間が減れば、いまとは比較にならないほど快適に道は流れる。都心部や幹線道路の渋滞は劇的に解消されていく。