「菌付きトング」でO157感染、死者も… あなたは大丈夫?

サラダバーやバイキング…危険は身近に
週刊現代 プロフィール

もう常識は通用しない

O157は強力な細菌として知られている。記憶に残るところでは、'96年7月に大阪府堺市の小学校で起きた学校給食からの集団感染がある。当時、学校給食による感染が確実であると判断された患者は9523人。結果として3人の小学生が死亡している。

大腸菌の一種であるO157は、主に牛などの家畜の大腸に生息しており、生肉が危険だと言われてきた。言いかえれば、熱に弱いため、食材によく火を通しさえすれば、O157感染のリスクは大幅に下がると考えられていたのである。

もし今回の事件の原因がトングにあるとすればこれまでの常識は通じず、生モノを避けても感染からは逃げられないことになる。

スーパーの惣菜コーナーやファミリーレストランのサラダバーなど日常生活で使うトング。

これまで不特定多数の客が食品を取り分ける形式が、食中毒につながるとして問題視されたケースはほとんどなく、売り場でのトングの扱いについては業界内でも注目されてこなかった。

「衛生管理の意識が高い店では、トングを定期的に交換するとか、使用前、使用後で使い分けるなどして注意していると思いますが、判断基準はあくまで自主的なもの。厚労省はトングなど売り場で扱う器具に関しての法令や、ガイドライン、規約などは作っていません。

というのも、現在の法令やガイドラインでは感染源が食品事業所に入ってこないようにすることが重要視されており、製造工程や殺菌工程で厳しくルールを設けることばかりに注力しているからです」(NPO法人「食の安全と安心を科学する会」の山崎毅理事長)

 

役所の対応が後手に回っている以上、自分の身は自分で守るしかない。できるだけリスクを小さくするために私たち消費者にできることはないのだろうか。

まず大切なのは、危険な店を避けることだ。「店を見極める際に重要になるのは『5S』だ」と語るのは食品ジャーナリストの河岸宏和氏である。

「洗浄、殺菌のことを頭文字をとって2Sと言います。それに加えて、整理、整頓、清掃、清潔、しつけの5Sがあります。作業着がパリッとしていなかったり、厨房の中が整理整頓されていないと、洗浄や殺菌などできっこない。

まず、作業着がきれいか、整理整頓がなっているか、調理担当が時計や指輪をつけたままではないか、など5Sを見る。そうすれば外からうかがい知ることのできない2Sの徹底具合を見極められるでしょう」

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実際、5Sという点から見ても申し分ない帝国ホテルでは厳しい自主基準が設けられている。

「『インペリアルバイキング サール』には複数のお客様がご自身でサーブするエリアもありますので、トングは15分でお取り替えすることを目安に運用しています。

また料理ごとに使うトングの形も違うので、使い回されることもない。見た目もそうですし、お料理の取りやすさ、サービスの向上という観点でも行ってきたことです」(帝国ホテル広報)