北朝鮮問題の現状打開にはこの「圧力」が最も必要だ

崩壊をちらつかせることができるか
篠田 英朗 プロフィール

北東アジアの弱点

北東アジア地域の最大の弱点は、大国がひしめき合い、朝鮮戦争すら公式には終結していない状態が続く中で、地域機構が作られていないことである。

現代世界では、北東アジア以外の地域の諸国は、例外なく、何らかの地域機構・準地域機構に属している。

ヨーロッパのEU、OSCE、アフリカのAU、ECOWAS、IGAD、SADC、中東ですらOCI、LAC、GCC、南アジアにSAARC、東南アジアにASEAN、旧ソ連地域にCIS、中国を中心としたユーラシア諸国のSCO、太平洋にPIF、西半球にOAS、と地表を覆い尽くす地域機構・準地域機構の重層構造が作られているのが、現代国際社会の一つの特徴である。

ひとたび地域内で紛争問題が発生すれば、国連などの機関と、地域機構が、協力して紛争解決にあたる。

しかし北東アジアは、世界の地域機構の広がりから見ると、一つの空白地帯である。北朝鮮問題は、そのような地域機構が生まれない状況の結果というよりも、原因であると言ったほうが正しいだろう。

〔PHOTO〕gettyimages

それにしても、地域的なアプローチで紛争解決の道筋を作っていけないのは、北東アジアの弱点であることは間違いない。北朝鮮問題が悪化し続けるのであれば、地域的なアプローチで紛争解決を図っていく必要性が増大する。

アメリカの影響力の拡大だけで、地域の秩序が安定化するような時代ではない。より地域的な視点から見たアプローチを組み合わせることが必要だ。逆に言えば、地域的な包囲網が形成されたうえで、体制崩壊後の秩序維持の方法が検討されれば、北朝鮮に対する大きな圧力となる。

念のために言っておくが、体制崩壊を準備する体制をとるということは、そのオプションだけを狙う、ということとは違う。交渉に持っていくためにも、その前に、実際に効果が見込める圧力をかけることが必要となる、ということだ。

北朝鮮に情勢変化を悟らせるレベルの圧力の増大を図らなければ、交渉の開始すらおぼつかない。

 

「戦争ではなく対話を」と唱えるか唱えないかで、政党の得票率が決まるというのは、あまりに原始的である。次の選挙では、そうした原始的な状況に、終止符を打ってもらいたい。

戦争は避けなければならないが、対話も難しい、いたずらに不要な刺激を与えるのは得策ではないが、何も刺激がなければ何の反応も得られない。そんなことは誰でも知っている。

政治家の皆さんにも、是非、現実は短絡的なスローガンで切り開かれるものではないということを共有しながら、なお妥当な政策をどのように考えていけるのかについて、真摯に語り合ってもらいたい。

編集部からのお知らせ!

関連記事

ABJ mark

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/