メルカリが実践して、アパレル業界が見落としている成功のための秘訣

メルカリ小泉文明×軍地彩弓【中編】
QREATOR AGENT プロフィール

若者にとって「リアル」とはなにか

小泉 セレンディピティと同様に大切にしていることは、"自分ごと化"です。今の若い子たちは、自分の人生のストーリーに合わないものに対してお金を払うことの拒否感が強いですよね。

軍地 そうなんです。Instagramでも、自分のタイムラインをどんどん編集してて、自分のストーリーに合わないフォローは外していくのは常識化してきました。みんながフォローしているからフォローしているのではなくて、自分がおしゃれと思うからフォローする。

だからインフルエンサービジネスでも、フォロワーの多い芸能人などよりも、フォロワーが1万〜5万くらいの「マイクロインフルエンサー」の方がリアルな価値があると捉えられて実売にも繋がっていると聞きました。

 

小泉 分かります。最近聞いたのは、女子大生がファッション雑誌や通販サイトを見ていると、「モデルさんが着ているから服の良し悪しがわからない」と感じるそうです。そこで、一般の人のInstagramの投稿を見て、着ている服や水着を自分に当てはめて、気に入ったらメルカリで探して買っているようで、それは面白いなと感じましたね。

軍地 一方では、Instagramの中には嘘や反リアルが実在しているわけで、反リアルをリアルにしてしまっている人がいるのも事実です。「インスタ詐欺」なんて批判も確かにあります。

ですが、リアルと反リアルが逆転していても、当人にとっては反リアルがリアルなわけです。そう考えると、Instagramにしても、メルカリにしても、人の気持ちを一番正直に示しているメディアがネットと言えます。

リアル・反リアルの話でいうと、この前見かけた電車の中で化粧をしている女の子はおもしろかったです。電車の中でも平気で白目を剥きながらアイラインを引いていたのですが、彼女の中でのリアル=パブリックはインスタの中や、後で会う友人との関係性だけなんです。電車の中の他人は全く関係ないという価値観で生きているんだと感じました。

小泉 おもしろいですね。

軍地 この例は、女の子の考えるコスパの一例だと思っています。移動時間に化粧を済ませるってコスパがいいじゃないですか。コスパ重視の女の子にとってメルカリはコスパがいい道具なんです。わかりやすく見やすく、ものの価値を自分で決められて、自分の価値観にマッチしたものだけを買える。

小消費でありながら、充足感が高いものを効率よく買えるメルカリがウケる理由はここにもあると感じています。

小泉 若い人たちは自分中心のスタイルで生きていますよね。昔はダサいと言われるのが怖くて新品を買って着ていたのが、古いものを着ていてもInstagramでは"いいね!"がついて承認欲求が満たされるといったようになったのも大きいかもしれません。

軍地 昔ハイブランドを着ていた理由を考えると、ハイブランドを着ていること自体が承認欲求だったと捉えています。本来の欧米の持ち方ではなかったかもしれませんが、日本人特有の劣等感を拭い去るラベルのためのラグジュアリーとしてハイブランドが好まれた。今は「ラベル」がなくてもSNSで自分のメッセージを伝えやすくなりましたからね。

(取材・文:田中利知+YOSCA 企画・編集:FIREBUG 写真:森弘克彦 イメージ写真:shutterstock 後編は明日公開予定です)